ドラマ視聴メモ(仮)

主に過去のドラマを、一気に見てあらすじ・まとめ・レビューをしています。

【黄昏流星群】第1話:まるっと文字起こし

はじめに

ドラマのセリフを中心に文字起こししました。表情・動作・心理については、捉え方が異なるかもしれません。以下の通り、記号や文字色で分けています。

○○『 回想シーン 』
○○《 ナレーション 》
※筆者の補足やひとりごと。


黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜 【第1話】

黄昏流星群

黄昏流星群 - フジテレビ

(スイス・山並み)

栞《人生の折り返し点が近づくと、多くの大人達はこれまでの人生を振り返り、これからの人生を考える。そして、死ぬまでにもう一度、魂を焦がすような時に身を投じたいと思う。後世に残る仕事。我を忘れるほど熱中する遊び。燃えるような恋。》

(スイス・ホテル)

ホテルの前庭で、山並みを眺める完治と栞。

栞《それは、あたかも黄昏の空に飛びこんでくる流星のような、最後の輝きとなるかもしれない。この熱い想いを秘めつつ、落ち着かない日々を送る大人達を、黄昏流星群と呼ぶ。》

(通勤電車)

女性が電車の揺れで瀧沢完治(佐々木蔵之介)にぶつかる。

女性「ごめんなさい、すいません」

 

(新宿・歩道)

完治《銀行員は死ぬまで銀行員。あの頃の俺は、確かにそう思っていた。》

 

(若葉銀行・新宿支店)

完治《28年前、俺が銀行員という人生を選んだのは安定性。給与面からして、当時誰もが認めるエリートコースだったからだ。》

秘書・篠田薫(本仮屋ユイカ)「おはようございます。」

完治「おはよう。」

篠田「本日もよろしくお願いします。」

 

(1990年ニュース)

男性アナウンサー「東京証券取引所の平均株価の終値は、今年最大の上げ幅を記録しました。」
女性アナウンサー「インフレ経済により人々の財布の紐はゆるみ、夜の街に若者が溢れています。」

(クラブ)

若かりし頃の完治。
クラブで豪遊中の人物に「社長、よろしくお願いします。」と資料を手渡し、「失礼します」と去ろうとするところ、飲みの席に呼び止められる。

 

完治《しかしバブル崩壊とともに、銀行の立場は大きく変化した。》

 

(1996年ニュース)

男性アナウンサー「倒産件数は経済崩壊後最悪となり、負債総額も戦後最悪を記録しました。」
女性アナウンサー「日経平均株価も大幅に急落しています。」

(町工場)

「どういうことか説明してくれよ。」と上司と完治に詰め寄る工場社長らしき男性。土下座をする上司と完治。

 

完治《貸し剥がしによって、中小企業を倒産に追い込んだこともあった。こんなことをするために銀行員になったわけじゃなかったが、甘いことは言っていられない状況だった。》

 
(1997年ニュース)

男性アナウンサー「四大証券のひとつ、山一証券が自主廃業も含めた検討に入りました。」
女性アナウンサー「北海道拓殖銀行は不良債権がもとで・・・」

 
(株式会社若葉銀行・除幕式)

完治《金融機関も淘汰・再編が進み、合併に次ぐ合併で、同期の人数も三倍に増えた。出世の道は三分の一になった。》

 
(HICOA社)

社長・大野剣(ヒャダイン)「またあんたかよ。支店長って案外ヒマなんだねぇ」
完治「大野様は特別です。大野様の才能を更に輝かせる、新規事業があるんです。この資料をぜひ、ご一読願います。」

 

完治《実績を上げるためなら、一回り以上歳下の人間にも頭を下げた。》

 
(現在・料亭前)

若葉銀行常務・金田真之「頭取!もう一軒お願いします。」
頭取・秦幸太郎「好きだね、金田常務!」
常務「頭取がご一緒なら!」
頭取「守口専務、瀧沢君、よろしく」と頭取から握手を求められる完治。

 

完治《定年まで残り10年。ゴールへの道筋が決まる、ここが正念場だとあの時は信じていた。》

 

頭取・常務が乗るハイヤーを深々と礼をし、見送る、守口と完治。
守口「やったな、瀧沢!これでずっと安泰だ!」と完治と握手をする。

 

完治《人生のすべてをささげてきた28年の対価は、本店幹部の椅子。そして俺は銀行員としての生涯を全うする。…………はずだった。》

 

(若葉銀行・新宿支店)

薄暗い行内でデスクワークをこなす完治。

秘書・篠田「また残業ですか。これ、上田の作った決算書ですよね。なんで支店長が?」
完治のそばに顔を寄せ、距離感の近い篠田。

 

完治「働き方改革で若い人に残業させられないからね。仕方ないよ……篠田君も早く帰りなさい。」と促され、篠田は「はぁい…」としぶしぶ帰る。

 

完治《不倫は銀行ではご法度。そんな一時の熱で積み上げてきた努力を無駄にできるわけがない。》

 

(若葉銀行・本店)

完治「守口専務!おはようございます。」
守口「おおー。今日は…最優秀店舗の表彰か!君が就任してから、支店の業績が上がったって、こっちでも話題になってるよ。」
完治「ありがとうございます。」
守口「来月の人事異動には何かあるかもしれんな。今度ここで会うのが楽しみだ。」
完治「はい。よろしくお願いします。」

 

(瀧沢家)

パン生地を練って、成形している瀧沢真璃子(中山美穂)。
玄関のチャイムが鳴り、真璃子は「開いてるよ!」を声をかける。

 

水原聡美(八木亜希子)「おじゃましまーす。……パン作ってたんだー!」
真璃子「今から焼くから、焼き立て持ってってよー」
聡美 「やったー!いつもありがと!……じゃ、これ!私からのプレゼント。」
聡美は自分が翻訳した本を差し出す。
真璃子「また新しいのが出たんだ。ありがと。」
聡美 「これで10冊目。ま、写真の私はぜんぜん変わらないけど。」
翻訳者紹介の写真と、聡美を見比べながら真璃子「ほんとだ」と笑う。

 

(支店長室)

完治「ネクタイ?」
篠田「最優秀店舗になったお祝いに、みんなで選んだんです。笑」
完治「えー、悪いな…ありがと。」
篠田「私たちみんな、支店長に感謝しているんです。上に恵まれたってよく、話しているんですよ。」
完治「なんだか怖いなー笑」
篠田「ずっと支店長のもとで働けたらいいなと思うんですけど」
完治が上着を脱ごうとするのを手伝おうと、すり寄る篠田を見て、上着を脱ぐのをやめる完治。
完治「そんなこと言って、新しい上司が来たら、俺のことなんか忘れるくせに。」

 

(瀧沢家)

聡美 「えー、そんなに毎晩帰り遅いの?」
真璃子「うん…土日もね、なんだかんだ言って出てくの。お客様相談会、とか言って。」
聡美 「……それって、ほんとに仕事ー?浮気だったりして」
真璃子は笑って「ありえないから、それは。」
聡美 「えー自信があるんだー」
真璃子「そうじゃなくて。銀行員が浮気なんかしたら、一発アウトでしょ。」
聡美 「なるほどね。瀧沢先輩ってそういうことで失敗するタイプじゃないもんね。」
真璃子「理屈に合わないことはしない人だからね。」
聡美 「真璃子はどうなの?楽しい話ないの?」

 

「楽しい話か……あっ!見る?こないだのデートの写真!」とスマホを操作する真璃子。「ええっ、なーにー!?見せて見せて」と寄ってきて、覗きこむ聡美は写真を見て「つまんなーい。娘が恋人ってこと?」

 

真璃子「娘はいいわよー。かわいいし、話しはあうし。」
聡美 「そんなこと言ってー。美咲ちゃんだっていつかは結婚して家出てくんだし。そしたらどうすんのー?」
真璃子「そんなの、まだまだ先でしょー」
聡美 「いやいやいや…」と笑う。

 

(瀧沢家・夜)

完治「ただいま。最優秀支店の表彰式で本社に呼ばれた。」というと、娘・瀧沢美咲(石川恋)は目を輝かせて「それってもしかして栄転とか?」と。真璃子も「そうなの?」と完治を覗きこむ。

「どうかな、先のことはわからないよ。」と完治。美咲は父親が持ち帰った、紙袋を見つけ「なにそれ?」「ああ、ネクタイだって。後輩たちがプレゼントしてくれた。」「へー、開けていい?」「いいよ。」

 

ネクタイは、上品なゴールドにグレーのドット柄だった。

 

美咲「これー、女の人が選んだよね。……あっ、カード!後輩さんたちからのメッセージかなー」
何気ない娘のひとことに、いちいち反応する真璃子と完治。

 

「ショップカードだった。」美咲がつまらなそうに言うと、安堵する完治と、それを見つめる真璃子。美咲は完治にネクタイを当てて「これさーお父さんには似合わないんじゃない?」と言い捨てつつ、「おやすみー」と二階にあがる。

 

完治は自分でそのネクタイを当てて見せながら、「似合わないかな。」と真璃子に話しかけるが、すぐ目線を外し「どうかな…悪くないんじゃない?」とはぐらかす真璃子。

 

(瀧沢家・翌朝)

ベッドメイク後、夫の書斎で紙袋を見つけ、箱を開けネクタイを見る真璃子。

 

美咲『これー、女の人が選んだよね。』


聡美『浮気だったりして。』


(若葉銀行・セカンドキャリア研修)

完治《銀行員は40半ばを過ぎるとみな、役職に関わらず、ある研修を受けさせられる。世間では黄昏研修と呼ぶらしい。八割の人間の前に待ち構えている出向や移籍に備え、心の準備をしておくのが目的だ。》

 

同期の井上秀樹(平山祐介)が完治を呼び止め「最優秀支店長のお出ましか?瀧沢に黄昏研修なんて必要ないよな。」などと完治をちゃかしているところに、横尾博(ますだおかだ増田)も現れる。
完治が声をかけると、横尾は避けるように席を変えてしまう。

 

(ショッピング)

真璃子は美咲と楽しそうに出かけている。

 

真璃子《娘は一番の親友だ。同世代で話しが会う友だちが少ないのは、大学を卒業してすぐに結婚・出産して、育児にかかりきりになっていたせいだ。夫は仕事に追われて、ゆっくり会話をする時間もないけれど、特に問題なく過ごせている。きっとこれが、幸せなのだと。》

 

(カフェでランチ)

美咲 「あのね、お母さんに会ってもらいたい人がいるの。」
真璃子「会ってもらいたい人?……それって…男の人?」
美咲 「うん。来週あたり、ウチに連れてこようと思うんだけど、お母さんからお父さんに時間作ってって言っておいてもらえる?」
真璃子「自分で言えばいいじゃない。」
美咲 「だってお父さん、めったに家にいないじゃん。…お願い!」と言われ、真璃子は返事をしない。

 

美咲「あんまりうれしくないの?あんまり喜んでくれてない気がする。」
真璃子はあわてて「ううん、そんなこと!ないない。お母さんうれしいわよ。そっか…ちょっと、びっくりしちゃっただけで…美咲の結婚なんてまだまだだって思ってたからな。」と取り繕う。「そうなのね…どんな人なのかな。そっか…」

 

(セカンドキャリア研修・終了後)

横尾に再度話しかける完治。「久しぶりだな、近頃何してるの」
横尾「俺はもう、次の出向先が決まってんねや。ハタダ薬品に…」
完治「そっか…関連会社じゃないな…。ってことは取引先か?」
横尾は険しい顔をしたまま、答えない。

完治「まああれだ、気を落とすな。出向先で自分の隠れた適正に気づいたって時々聞くし、ほら!食品メーカーにいたアダチさんだって…」
横尾「よお言うわ。所詮ひとごとなんやろ。」と若干語気を荒めて、去る。

 

井上「あいつ、二度目の出向なんだよ。一度目が上手くいかなくてな。銀行員ってのはツブシがきかないんだよな。出向先の仕事は専門外。仕事ができないってレッテル貼られて、職場に居づらくなる……明日は我が身だ。ま、守口専務に気に入られてるおまえには関係ない話しだ。気にすんな。」

 

(瀧沢家)

真璃子は家事をしながら、思い出す。

 

美咲『あのね、お母さんに会ってもらいたい人がいるの。』


聡美『美咲ちゃんだっていつかは結婚して家出てくんだし。』

 

美咲のアルバムを眺める真璃子。
小学生の美咲と、一緒にパン作りをしたことを思い出す。

 

真璃子《気が付いてしまった。仕事中毒の夫の不在を、私はずっと、娘にかまけることで埋めてきたんだ。》

 

(セカンドキャリア研修・出口)

完治は支店に電話を入れ、金田常務から「本店の頭取室に来てほしい」とことづけを聞く。

 

頭取『瀧沢君、よろしく』と握手。

 

守口『今度ここで会うのが楽しみだ。』

 

篠田「いよいよ栄転じゃないですか?支店長」電話越しに言われ、
完治「ま、早まるなよ」と言いつつ、自分でも期待を持つ。

 

(瀧沢家)

完治「ただいま。確か昨日誕生日だったよね、おめでとう。一日遅れたけど。…美咲は?…風呂湧いてる?」

※「家族のこと気にかけているフリしつつ、心ここにあらずといった完治」ということかな

 

(若葉銀行・本店)

期待あふれる顔で、本店を見上げる完治。
足早に頭取室に向かう。

 

頭取「すまないね、研修明けそうそう」
金田常務「あの研修はねー、大変ですものねー」
完治「いえ!おかげさまで、大変勉強になりました。初心に帰るいい機会をいただきまして。」
金田「あ、じゃあ、ちょうどよかったのかな。」
完治「あ。…と、おっしゃいますと?」
頭取「川崎にある、荻野倉庫という会社、知ってるかな。」
完治「荻野倉庫ですか。」
頭取「君の新しい勤務先に、って思ってるんだ。どうだ。」

 

金田「荻野倉庫さんはウチとずーっと付き合いのある会社でね。規模は大きい方ではないがー、とても…」話し続ける常務の声が遠く聞こえる……「瀧沢君?」

 

完治「待ってください。あの……それは出向ということですか。」
頭取「急で驚いたかもしれないがね、悪い話しじゃない。物流の仕事は、案外君の適正にあってるかもしれないって思うんだ。よろしく頼む。」
完治「少し、時間をいただけますか。」
頭取「月末まで待とう。残る道もなくはない、ただそれは、更に厳しい道だということは、覚悟しておいてくれ。」

 

(新宿支店・支店長室)

完治は床に膝をつき、ドンドンと机にこぶしをぶつける。

「なんで……」と悔しがるが、ノックの音がすると立ち上がり、取り繕う。

 

篠田「お耳に入れておいた方がよろしいかと思いまして…。支店長が親しくされていた守口専務が、パワハラで訴えられたそうです。……本店の同僚から聞きました。」

「そうか。」と答えるのが精いっぱいの完治。銀行内の派閥争いで負けたことが、出向の原因だと悟る。

篠田「今夜、飲みに行きませんか。……やっぱり、だめですか。」
完治「……ありがと。でもふつうの会社ならともかく、ウチは銀行だ。二人で飲んでるところ見られたら、君も私も、一発でアウトだ。」と去ろうとする後ろから、篠田が「銀行、銀行ってここまでされて、今さらなに言ってるんですか。」と言うが、無視して出て行く。

雨が降り始め、みな足早に歩く新宿の歩道を、傘も差さずに、悔し泣きする完治。

 

(居酒屋)

異様なものを見る目で、客が、ずぶ濡れの完治を見る。
店主・徳田和夫(小野武彦)も様子を伺いながら、完治に酒を出す。

 

(瀧沢家)

夫の帰りを待つ真璃子。時計は23時を過ぎた。

 

(居酒屋)

「もう一杯」と酒のおかわりを求める完治に、「もうないよ」徳田が言う。一万円札を叩き付け、帰ろうとするが脚がもつれて、他の客とこぜりあいになってしまう。徳田は「やめておけ」と客をたしなめ、「体冷えちまうぞ」と完治に甘酒を差し出す。


美咲 『もしかして栄転とか?』
真璃子『そうなの?』

守口『ここで会うのが楽しみだ。』

篠田『いよいよ栄転じゃないですか?』

井上『守口専務に気に入られてるおまえには関係ない話しだ。』

横尾『所詮ひとごとなんやろ。』

頭取『荻野倉庫という会社、君の新しい勤務先に、って思ってるんだ。残る道もなくはない、ただそれは、更に厳しい道だということは、覚悟しておいてくれ。』


居酒屋の客は次々店を去って行く。隣の客が飲んでいたロックグラスに残る氷から、スイス・マッターホルンを連想する。


(スイス・マッターホルン)

ロープウェイ乗り場には「運行中止」の看板が出ていて、マッターホルンのライブ動画も吹雪いていて真っ白。完治はホテルに戻る。

 

完治《スイスに来てもう5日。マッターホルンに登ることはおろか、見ることさえ叶わない。……運命の冷酷さにふと逆らってみたくなった。》


再び、ロープウェイ乗り場。係員に「上に行っても何も見えませんよ。」と言われるが、構わないとゴンドラに乗り込む。

 

(瀧沢家・回想)

汚れた姿で帰宅する完治。「どうしたの!?」と驚く真璃子に「ころんだ。……明日からスイス行ってくる。」と一方的に言う完治。

 

(スイス・マッターホルン)

ロープウェイ乗り場では発車を告げる声。ゴンドラの扉が閉まる直前に乗り込んできたのが、目黒栞(黒木瞳)だ。動き始めた振動で、軽く悲鳴をあげてとベンチに座り込む栞。完治は会釈しながら、「あ、日本の方ですか」と声をかける。

 

到着すると、やはり吹雪いている。
折り畳み傘を開こうとする栞。「やりましょうか」と手伝う完治。
だが、突風が傘を飛ばしてしまう。

 

ゴンドラに戻り、二人は自分の雪を払う。栞はタオルを差し出し「使います?」

栞 「私たち…もの好きにもほどがありますよね」
完治「ほんとですね、なにやってんだか」
「ねっ!」と楽しそうに笑って、完治の顔を覗き込む栞。

借りたタオルを洗って返すという完治に、「大丈夫です、ホテルのだし」と栞。
ホテルの刺繍を見て、「あ、同じホテルです、僕も」、栞は「ほんとに?」とうれしそう。

 

(ホテル・レストラン)

ドイツ語でワインを頼む栞。

完治「ドイツ語お出来になるんですね」
栞 「ちょっとだけ…」
完治「あの…どうしておひとりで…。あ、すいません。いや、あの…」
栞 「あ、主人と…一緒に来るはずだったんですけど、直前に仕事が入ってしまって…」
完治「そうですか。それは残念ですね。」
栞 「でも。一人もいいです。…一人っていいです。風景と自分だけで向き合えるから。相手のこと気にせず笑」


完治「山が…お好きなんですか?」
栞 「ええ。高山植物が好きで、エーデルワイスをいつか見てみたいなって…でもこの天候じゃ笑」
完治「私も山の花は好きです。チングルマ、薄雪草、コマクサ!」
栞 「お詳しいですね」
完治「私も若い頃はよく登りました。槍とか、穂高とか…テント背負って、冬山にも行きました。」
栞 「じゃあ、今でも?」
完治「いやーもうぜんぜん!この歳になるまで、仕事仕事でがむしゃらに来てしまったんで、もう何年も登って来ませんでした。
栞 「……荷物を降ろしに来たんですか?……山のことをを忘れるくらい、働いている間に、いろんなものを背負ってらしたのかなって。」

 

完治は栞のことばにハッとして、頭取との会話を思い出す。

 

頭取『君の新しい勤務先に、って思ってるんだ。』

完治『出向ということですか。』

 

完治「降ろしてみようかな…自分の思い描いていたコースから外れて、落ちこぼれました。そういうことが自分の身に起こるなんて、想像もしていなかったんで…左遷されたんです。」
栞 「そうですか」

 

完治《あっさり言えた。家族にも言えないことが。》

 

「後でちょっと、外に出てみません?」と気分を変えるように、栞は完治を誘う。「山の景色ってどんどん変わるでしょう?昼間とは違う景色が見えるかもしれません。」

 

(ホテル・前庭)

栞 「わ!月が出てる!」
完治「わー。晴れましたね!」
栞 「きれいだろうな。きっと…明日の山は…」
完治「明日…一緒に見に行きませんか。」
栞 「いいですね。」

 

流れ星が流れ、笑いあう二人。「こんなことってあるんですね。生きててよかった。」と栞。

完治「生きてて?」
栞 「ええ、生きてて」
完治「それは…生きていたくなくなることもあるということですか?」
栞は「ありますよっ、しょっちゅう」とおどけて答える。

 

(ホテル・客室廊下)

完治「私はこちらで……あの。ちょっと部屋でお酒の続きでもいかがですか。」

 

窓際のソファに栞を座らせる。完治はワインを注ぎ、隣に座るのを躊躇し、向いに椅子を運び席についたところで、窓の外で大きな音がする。

窓の外の様子を伺い、雪が落ちたことに気づく二人。

笑いあい、完治からふいにキスをする。

栞は驚き、更に迫る完治を拒み「ごめんなさい」と部屋を出る。

 

すぐに追いかけ部屋を出るが、無人の廊下。


(瀧沢家)

家の固定電話が鳴り、真璃子が出ると完治の部下からだった。

 

上田「若葉銀行新宿支店の上田明と申します。支店長は御在宅でしょうか。お休み中、申し訳ありません。瀧沢さんでないとわからない支店長案件がございまして、支店長の携帯がオフになっておりましたのでこちらにお電話した次第なのですが。」

 

真璃子「携帯?スイスにいる主人の携帯ですか?」
上田 「支店長、スイスにおられるんですか」
真璃子「出張だと聞いているんですけど…」
上田 「いいえ、今週はお休みを取られ…」と言いかけるが察して「申し訳ありません。またご連絡します。」
真璃子「待ってください!あの!」と呼び掛けるも一方的に切られる。

 

「トマトジュースって切れてたっけ…」と入ってきた美咲に「お母さんどうしたの?」と声をかけられ、やっと受話器を置く真璃子。

 

美咲はトマトジュースを注ぎながら「浮気じゃないの?それしか考えられないでしょう。でなくて、何日も嘘ついて家あける?」

真璃子「そうとは限らないじゃない。なにか理由があるかもしれないし。」
美咲 「どんな理由?」と聞かれるが、答えに詰まる真璃子。


美咲 「ねえ、この前のネクタイのこと。ちゃんと、お父さんに問い詰めた?」
真璃子「別に。何も聞いてないけど…」
美咲 「なんで、そういうことちゃんと聞かないの。」
真璃子「なんでって、…なんでもハッキリさせればいいってもんじゃないでしょ。夫婦ってそういうものよ。」

 

美咲「ずっと思ってたんだけどさ、お母さんってお父さんに遠慮しすぎだと思うよ。お父さんのこと想ってるみたいだけど、違うよね?結局、お母さんってさ、楽したいだけなんじゃないの?波風立てたくないってそういうことでしょう。」

 

(スイス・ホテル翌朝)

外が晴れている。

『きれいだろうな、きっと。明日の山は』『一緒に見に行きませんか』

昨夜の会話やキスを思い出しながら、完治はホテル内を探す。

 

ロビー、レストラン、テラス…栞はどこにもいない。

ホテルの清掃員に「この部屋にいた日本人女性は?」と聞くと、「彼女なら今朝早くに出て行きました」と言われ茫然とする完治。

ロープウェイで展望デッキに行き、栞を探し、夕方になるまで待つ完治。

 

完治《半日以上待ったが、ついに、彼女は現れなかった。》

 

ロープウェイで麓に降り、売店に並ぶ折り畳み傘を見ながら、また栞を思い返す。

 

完治『山がお好きなんですか。』
栞 『エーデルワイスをいつか見てみたいな、って』

 

エーデルワイスや、飛んでいく赤い傘を思い返しながら、似た色のエーデルワイス柄の折り畳み傘を手に取る。

 

(瀧沢家)

完治が帰宅。

完治「向こうは寒波で寒くて大変だったよ。これ、おみやげ。チョコレートとチーズ」

手渡された土産を一瞥して、美咲は「これ、本物?」と聞く。
続けざまに、スーツケースについたタグを見て「スイスに行ったのは本当だったんだね。でも仕事っていうのは嘘でしょう。なんでそんな嘘つくの?誰とスイスに行ったの?」

詰め寄る美咲を、肩に手を置き、なだめる真璃子。

真璃子「昨日の夕方、支店から電話があったの。支店長案件をあなたと話し合いたいって。……出張じゃなかったのね。」
完治 「……申し訳ない。すまなかった。スイスには一人で行った。」
真璃子「…一人で…。なんのために…」
完治 「行きたくなったんだ、スイスに。山を見たくなった。」

美咲は、軽蔑するような目で父親を見て、飽きれるように母親を見る。

 

完治 「このところ、仕事が忙しくて、働きづめでストレスが溜まってた。不意に…無性にひとりで、遠くに行きたくなったんだ。それだけだ。」
真璃子「なんかあったの?ほんとにそれだけ?」
完治 「それだけだ。」
美咲 「お母さん!信じるの?」
真璃子「そんなこともあるんじゃない?お父さん、若い頃、山が好きだったから。」

父親を責めない母親にも苛立ったような顔で、二階に戻る美咲。

 

真璃子「お風呂湧いてるわよ。」完治「…うん。」

 

(瀧沢家・風呂上り)

美咲「ほんとに浮気じゃないのね?」
完治「違うよ!」
美咲「絶対にやめてよ。私、今、付き合ってる人がいるの。その人と結婚したいと思ってるの。相手の人、弁護士で、学歴も家柄もちゃんとした人なの。だから浮気とか、浮気がばれて左遷とか、そういうの絶対にありえないから!間違っても、私に恥かかせないでよ!」

と言い捨て、父親を残し二階にあがる美咲。

 

(瀧沢家・朝食)

美咲は「今度、彼連れてくるから、そん時はちゃんと帰ってきてよ」と父親を見ずに言って、出かけてしまう。完治も、真璃子と二人きりになるのが気まずいのか、すぐに出かけてしまう。

一人になり、真璃子は思い出す。

 

美咲『浮気じゃないの?それしか考えられないでしょう。』

上田 『支店長、スイスにおられるんですか』
真璃子『出張だと聞いているんですけど…』

完治『すまなかった。スイスには一人で行った。』

 

(若葉銀行・新宿支店)

完治《俺が出向を言い渡されたことは、みんな知っている。針のむしろだ…》

 

行員が「それってさー人事異動の後でもいいんじゃない?」「そうですよねー」だとか、「次の支店長がなんて言うか…」「次の支店長ねー」だとか、「声かけてあげなよ」「私はいやだ」などと、無神経に会話しながら、支店長席の前を通る。

心配そうに遠巻きに見ている、秘書・篠田。

 

(都内)

川沿いのつりぼりで、何人かの男性が釣りをしている。

完治《釣り糸を垂らしては、魚を放す…。その繰り返し。10年後の俺の姿か。》

カフェで、ひざの上に乗せたカバンの中に入った、プレゼントを見る。


(瀧沢家・書斎)

完治《もう一度会って、謝りたかった。ありがとうと言いたかった。あの人と二人で、青空にそびえる山を見上げたかった。それが心残りだった。》

一緒に夜空を見た時の栞や、ゴンドラで声をかけた時の栞を思い出す。
ロープウェイ乗り場の売店で栞に買っていた折り畳み傘を、書斎の机にしまう。

※赤に白い雪の結晶の筒型の箱に入っている。

 

(若葉銀行・支店長室)

窓の外を眺めながら、また思い出す。

『荻野倉庫という会社。君の新しい勤務先に、って思ってるんだ。どうだ。』

 

完治《内示を受けるのか。受けたとして、家族にはいつ言う…。》

PCで「荻野倉庫」のホームページを見ながら、今度は家族からのことばを思い出す。

 

真璃子『なんかあったの?』

美咲 『間違っても、私に恥かかせないでよ!』


(荻野倉庫)

トラックにクラクションを鳴らされる。
社員が行き交うのを眺める完治。社員の会話から、食堂を見つける。
カレーかラーメンならまだ出せると言われ、カレーを頼む。
外で食券を買う間に、「カレーのお客様ー」と声がかかる。
急いで、買った食券を渡すと、栞だった。

 

(瀧沢家・庭)

真璃子はバラの手入れをしている。

聡美『浮気だったりして。』

手元が狂い、花バサミで指を切ってしまう。

 

美咲『これ、女の人が選んだよね。』

 

完治 『このところ、仕事が忙しくて』
真璃子『ほんとにそれだけ?』
完治 『それだけだ。』

 

ぼんやりする真璃子に、急に「大丈夫ですか。」と声をかけ、ズカズカと庭に入り、真璃子の手首をつかみ、水道で流すと、ハンカチで押さえ微笑む若い男。

 

(荻野倉庫・食堂)

戸惑う栞に、完治も話しかけられずにいた。
栞は、同僚の小俣房江(山口美也子)に「房江さん、ちょっと早いけど上がらせてください。」と言い、帰ってしまう。
房江は栞を見送りながら「あの子ね、一人で認知症のお母さん見てて、大変なのよ。えらいよね。」と言う。

 

(荻野倉庫の最寄駅)

エスカレーターを上ったり、下りたりしながら、栞を探す。

 

完治《あの人と二人で、青空にそびえる山を見上げたかった。もう一度会って、謝りたかった。ありがとうと言いたかった。》

 

下りエスカレーターで、上りエスカレーターの栞を見つける。階段で追う完治。
上がり切ったところで振り返ると栞がいた。

 

完治「まだ名乗ってませんでしたね。私、瀧沢寛治といいます。」
栞 「私は目黒栞です。……シオリは、本に挟む栞です。」
完治「会いたかったです…」と見つめる。(完)


第1話:まとめと、言いたい放題ドラマ評

(まとめ)
  • 佐々木蔵之介と中山美穂が夫婦、その娘が石川恋。
  • 蔵之介は銀行員、派閥長の失脚により出世コースから一転、出向命令。
  • 家族には出張と嘘をつき一人旅。旅先のスイスで黒木瞳に出会う。
  • 蔵之介は不意に黒木にキスし拒まれる。ぜんぜん「黄昏」ていない。
  • 蔵之介の出向先の食堂で働く黒木と再会。そんなミラクルあります!?
  • ロケ地はスイスではなく長野県。川崎ではなく新木場。

(言いたい放題ドラマ評)

帰りのゴンドラで、出会ったばかりの完治を上目使いで覗き込んだり。
「山のことをを忘れるくらい、働いている間に、いろんなものを背負ってらしたのかなって。」などと言葉を選びながら、オトコを立てつつ労ったり…。

男性からしたら抜群にカワイイのかもしれない、いやカワイイよね。


狙ってやってたら、怖いけど……狙ってやってるようなオンナなら、自覚があるだけむしろマシなのかな。黒木の演じる栞は、男性を勘違いさせることに無自覚な女性なのかも。まず登場の白のダウンコートに、白のふわふわニット帽という出で立ちからして、あ然とした。

 

それにしても全体的に蔵之介の勘違いが甚だしい。アプローチを続ける秘書相手に「銀行員たるもの自制してなんぼ」的な態度すらも、そんな俺に酔う感じがダメ。どうしよう…ムッツリタイプのエロイ人にしか見えない。

 

中山も自己肯定力が低いし、パン焼くし、ひとり娘に依存するところがもう、イライライラ……。今のところ共感できそうなのは、八木亜希子だけだな。

こんな「黄昏」ばかりで、最後まで見れるのか心配。

次回

www.mmiimmoo.net