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【黄昏流星群】第2話:まるっと文字起こし

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黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜 【第2話】 

黄昏流星群

黄昏流星群 - フジテレビ

(荻野倉庫の最寄駅)
追ってきた瀧沢完治(佐々木蔵之介)を、エスカレータを降り待っていた目黒栞(黒木瞳)。
 
完治「まだ名乗ってませんでしたね。私、瀧沢寛治といいます。」
栞 「私は目黒栞です。」
完治「会いたかったです…」
 
完治に「あの…お茶でもいかがですか。」と誘われ、戸惑いながら、栞は「あ……えっと……結婚なさってるんですよね。」
 
「はい、してます。」屈託なく答える完治だが、すぐに察する。
 
完治「そうですよね…ずうずうしいお願いでした。でも決して浮ついた気持ちでなくて、友達として。…あ、いや、あんなことあったのに、と思われるかもしれませんが、あの……あの、別に、もう一回しようとか…あ、いや違う。えー、え?いや、違います。あの…あなたがとても、魅力的な方なのでもう一度お会いできればと思って…。だからと言って、あの続きをしたいとかそういうことでは……」と、しどろもどろ。
 
完治は続ける。「あ、あの…、傘を買ったんです。」
 
急に傘と言われ、驚く栞。「あの時飛ばされた傘を。」という完治のことばで、マッターホルンの展望台で猛吹雪の中に飛ばされていく赤い傘を思い出す。
 
完治「代わりの傘を買ったんです。それだけでもお渡ししたいんですけど。」
栞 「あ、でも…職場ではちょっと……」
完治「じゃあ、送ります。ご住所は?」
栞 「住所?」
完治は手帳を戻しながら「あ、不躾ですよね。すみません。」
栞 「あの…んと……はい。はい。」と自分の手帳に住所をメモして渡す。「母が入居している介護施設です。私、週に3回は通っているので。」
完治は一瞬固まるが、「これ、私の名刺です。今、まだ、ここに居ます。」と自分の連絡先を渡す。
 
(瀧沢家・庭)
瀧沢真璃子(中山美穂)はバラの手入れをしている。
 
聡美『浮気だったりして。』
 
手元が狂い、花バサミで指を切ってしまう。「大丈夫ですか。」と若い男が庭に入り込む。
 
真璃子の手首をつかみ、水道で流すと、ハンカチで押さえる。
少々強引だが、スマートだ。若い男は、真璃子に微笑む。
 
手を握りつづけていたことに気づき「あっ…すみません。」と手を放し、「美咲さんと約束をしておりまして。日野春輝と言います。」
 
美咲『お母さんに会ってもらいたい人がいるの。』
 
美咲『今度、彼連れて来るから。』
 
娘・美咲(石川恋)と付き合っている日野春輝(藤井流星)だった。
※この登場なんなのもう。
 
真璃子は動揺して、あわてながら「どうぞ、お上がりください。」と促す。
 
(瀧沢家)
真璃子はキッチンから、ダイニングにいる春輝の様子を伺う。
手首を強引に掴まれたり、ハンカチを添えて微笑む春輝を思い返す。
 
春輝にとっては、ぼーっとしているように見えたのか、「あの……大丈夫ですか」と真璃子に声をかける。
 
真璃子はハッとし、絆創膏が貼られた指を見ながら、「あっ!大したことないんです!」と言うが、春輝がピンと来ていないようだと思ったのか、「あ、あの…花粉症?私ひどい花粉症なんですよ、秋に飛ぶ花粉もあるんですね」ととんちんかんな答えを返す。
 
真璃子が棚からティーセットを取り出そうとすると、「お手伝いしましょうか」と春輝。真璃子は「おかまいなく。」と言う。
 
キッチンハーブに近づき、春輝は「いい匂いですね、レモンバーム」と話題を変える。
 
真璃子「雑誌で特集してたんですよ。家で作ったハーブで、ハーブティを入れようって。それで見よう見まねで。でも上手く行かないんですよね…一回作ったら、土臭いお茶だねってって娘に言われちゃいました。ひどいですよねー、土臭いだなんて…」
春輝 「もしかして茎を入れちゃいました?茎は入れずに、葉っぱだけで。少し多めに入れるといいですよ。ふつうの紅茶やミルクティに、ちょっとまぜるだけで風味が増しておいしいんです。」
真璃子「好きなんですか?ハーブティ」
春輝 「あ!ちょっと、いいですか」とキッチンに入り込み、「これ…お借りしていいですか。」とハーブを摘みはじめる。
 
春輝は手慣れた様子で、ミントを洗い、ハーブティを入れ、真璃子に飲ませる。
真璃子「ああ、おいしい!」
「でしょう?母もハーブが大好きで、よく育てているんですよね。」と屈託ない笑顔で、真璃子を覗きこむ春輝。顔が近い近い。
 
でも真璃子は気づいてしまった。
 
真璃子《母か…この子にとっては、私もお母さんみたいなものなんだ。なにをバカみたいにドキドキしてたんだ。》
 
春輝 「これ、お借りしてもいいですか。」
「はい。」真璃子はクッキー缶を扱いながら、「娘とはどこで知り合われたんですか。」と聞いた。
 
春輝 「合コンです。」
意外な答えに驚く真璃子。
春輝 「美咲さんの会社の女性陣と、ウチの事務所の男性陣とで集まろうってなって。ウチの事務所っていうのは法律事務所なんですけど。」
真璃子「えっ、じゃあ弁護士さん?」
春輝 「まだ、ペーペーですけど。」
 
そこに美咲が帰ってきて「お、春輝!」と声をかけ、「ね、お父さんまだ?」と真璃子に聞く。
真璃子は静かに首を横に振る。
 
(若葉銀行・新宿支店)
完治は「支店長!」と呼ぶ男性行員に反応するが、男性行員はその奥にいる新支店長・松井(小松利昌)に駆け寄る。書類を落とされ、茫然とする完治。
 
松井「よし、一週間待ってくれ。みんなの名前覚えるの。」「写真とだいぶ印象が違うな。よく言われるだろう。」と明るくフレンドリーな新支店長に、群がる行員たち。
 
篠田は落ちた書類を拾って、作った笑顔で「はい」と渡すが、完治は無言で受け取る。
篠田はそれ以上、完治に声をかけられない。
 
(HICOA社)
完治「大野様にはこれまで、大変お世話になりました。これからはこの松井が私の後を継ぎますので、今後とも当行をよろしくお願いいたします。」
松井「後任の松井と申します。よろしくお願いします。」と名刺を差し出すが、社長・大野剣(ヒャダイン)は完治から視線を外さない。
 
大野「瀧沢さんから、どぉーしても!っていうから俺、融資受けたんだけどなあ。これって本店に栄転ってやつぅ?」
 
名刺を受け取らず、ちゃかすように言う大野に、新支店長・松井と、部下の上田がなにか言いかけたところを遮り、完治は「大野様には本当に、お世話になりました。」と最後のあいさつをする。大野は空気を読まず、「いえーい!」とグータッチを完治に向け、完治もそれに応じる。
 
松井は帰りの廊下で「お客様が本店に来られたらどうするんだ。嘘だってバレるよな。」と完治に聞こえるように上田に話しかける。
 
完治《勝手に言ってろ。何度も足を運んでアタマ下げ倒して、信頼を勝ち取った相手だ。俺の客なんだ。》
 
完治のスマホ、バイブレーションが鳴る。
 
完治 「どうした。」と応答すると、真璃子からだった。
真璃子「どうした、じゃなくて。今日美咲と約束してたでしょう。」
完治 「ああっ。そうか。ああ、ごめん…。」
 
察した松井が「挨拶まわり、私だけで行きましょうか。」と気を遣うが、完治は「いや、いい」。
 
完治「すまん。顧客の挨拶まわりが、あと何軒か残ってるんだ。」と電話に向かって話す。
 
(瀧沢家)
ため息を付き、電話を切る真璃子。
 
美咲 「ね、忘れてたの?ね、そうなんでしょう。」
真璃子「まだ、仕事が残ってるんですって。」
美咲 「はぁ…いっつもこうなのよ、お父さんは!」と語気を強める。「ホント、イヤになる。」
春輝 「仕事なら、仕方ないよ。」と美咲をなだめ、真璃子に向かって「よろしくお伝えください。僕、また出直します。」
真璃子「そう?ほんと、ごめんなさい。」
春輝 「いいえ。今日はお母さまにお会いできただけで、よかったです。」
真璃子「なんのおかまいもできなくて…」
 
※時計は20時を過ぎているが、テーブルの上には、明るいうちに出したハーブティとクッキーが残っている。3時間も4時間も、何杯飲んでるんだって感じ。
 
春輝 「ああ、いいえ。」
美咲 「じゃあ、私、送ってくる。」とため息をつき、玄関へ。
 
春輝も玄関に向かうが、部屋を出るところで振り返る。
真璃子がお辞儀をし、顔をあげてもなお、見つめ続ける春輝。
 
美咲に「はるきぃー、時間大丈夫?」と声をかけられ、春輝は名残り惜しそうに去る。
 
(HICOA社・エントランス)
松井「いいんじゃないですか、無理をなさらなくても。どの方も今後二度と会わないお客様ですし。」
完治「就任中、お世話になった方々だ。お一人おひとり、ちゃんとお顔を見て挨拶したい。」
 
完治は優等生風にそう話すが、すぐ無表情に変わり、さっさと行ってしまう。
松井は呆れたような表情を、上田に向ける。
 
(瀧沢家)
ダイニングテーブルには、一人分の夕食に、フードカバーがかけられている。
 
※フードカバー:傘のように開く、食卓用の蚊帳みたいなアレ。こんなの、平成にもあったんですね。
 
洗い物をする真璃子。指に貼られた絆創膏を見つめる。
 
真璃子《やさしいのよね。ただ転んだおばあちゃんに、手を差し伸べたのと同じことよね。》
 
春輝の笑顔を思い浮かべながら、自分に言い聞かせる。
 
完治帰宅。
完治 「ただいま」
真璃子「お疲れさま。」
完治 「美咲は?」
真璃子「もう寝てる。」
完治 「怒ってただろうな…。」
真璃子「怒ってた。小さい時からのこと、ぜーんぶ持ち出して。運動会にも、授業参観にも、ピアノの発表会にも来なかった。お父さんはいっつも約束をやぶるんだから、って。」
完治 「そっか……悪いことしたな…。」
真璃子「しょうがないわよ、仕事だったんでしょ。」
 
完治 「で、どんな奴だった?美咲が付き合っているとかいう、その相手だよ。」
真璃子「いい人だったわよ。」
完治 「いいって……、え、どういうふうに?」
真璃子「礼儀正しくて、さわやかで、やさしそうで。あ、弁護士さんなんだって。」
完治 「弁護士か。…なんで、美咲と知り合ったんだ?」
真璃子「……合コンだって。」
完治 「合コン!?」座りかけたのを立ち上がって驚く。
 
真璃子「あなただって、大学のころ散々やってたじゃない。」
完治 「大丈夫なのかぁ?それ、本当に弁護士なのかどうかもわかんないぞ。いや、だいたい世間知らずだからなぁ、美咲も。ちょっと見栄えのいい、条件のいい男みつけて、舞い上がってるだけなんじゃないか?ちゃんと素性調べないと。」
真璃子「大丈夫よ、美咲を信用できないの?会いもしないで、文句ばっかり言わないで。」とたしなめるが、
完治 「俺はなにごとも慎重に、って言ってるだけだよ。結婚は人生の最大の取引なんだから。事前の下調べは重要だよ。」と収まらない。
真璃子「だったら、ちゃんと帰ってくればいいのに。」
完治 「だから仕事だって言ってんだろう。」
真璃子「…いいけど。今度はちゃんと会ってあげてね。」
 
と真璃子は、完治の目の前で絆創膏に触れるが、気付かず晩ごはんを食べ始める完治。
冷蔵庫のドレッシングを取り出しながら、小声で「やっぱ気づかないか。」と真璃子。
 
※夫への期待が過剰。気づきませんって。
 
(こはるの里)
特別養護老人ホーム受付。
スタッフの女性が、栞を呼び止める。
 
「あ、目黒さん。お荷物届いてますよ。」
 
完治からの宅配便だった。
うれしそうにその場で開け始める栞。
※ことり急便。木の実があしらわれた小鳥のマークも凝ってます。
 
車いすの母・目黒悦子(岩本多代)に、かがんで話しかけるスタッフ「悦子さん!いつも娘さん来てくれていいわねー。今日、天気いいから、あとでお散歩なんか行ったらいいわね。」
 
(こはるの里・中庭)
悦子「ありがとう。」
栞 「いいえー」
悦子「どなたか存じませんが、ご親切さま…」と頭を下げる。
栞 「どういたしまして。」
 
目の前の花壇を見る母。隣のベンチで、ふとバッグの中にある、完治のプレゼントが気になる。筒型の包みを開け、折り畳み傘を開いてみる、栞。
 
栞「お母さん、私ね…プレゼントもらっちゃった。男の人からプレゼントなんて、何年ぶりだろう。」
 
青空にかざした傘は、エーデルワイスと雪の結晶の柄で、見上げた母も「まあきれい!」と栞から傘を取り、無邪気に回して喜ぶ。「ほんとね。」と栞。
 
(若葉銀行・本店)
頭取室に向かう完治。そこには、頭取・秦幸太郎、常務・金田真之が待っていた。
 
(若葉銀行・本店ロビー)
受付カウンターには同期の井上秀樹(平山祐介)がいた。
避けるように方向を変える完治だが、呼び止められる。
 
井上「出向の内示、受けることにしたのか。」
完治「受けるしかないだろう。」
井上「まあな…まさか、おまえがな…。奥さんには?相談したのか?」無言の完治を見て、続けざまに「おせっかいなのはわかってる。ただ環境の変化には家族の理解も必要だぞ。」
「わかってる。……ありがとう!気を使ってくれて。」と明るく振る舞うが、そそくさと井上に背を向けた完治からはすぐに笑顔が消える。
 
(若葉銀行・新宿支店支店長室)
デスクを片付ける完治。秘書・篠田薫(本仮屋ユイカ)が「お手伝いしますよ」と入ってくる。
 
完治「いいよ、すぐすむから。」
篠田「手伝います。…今夜、送別会しません?二人で…一度ぐらいごちそうさせてください。」
 
篠田が運ぼうとしたダンボールの底が抜け、完治が駆け寄るが「なに言ってるんだ。俺なんかと飲むより、新任の松井とじっくり話して、仕事の指図をしてもらったほうがいい。彼には彼のやり方があるだろうから。」と答える。不服そうな篠田。
デスクの電話が鳴り、篠田が応答する。「目黒様という方からお電話です。」
 
目黒という名にピンと来ないが、「もしもし、目黒です」と声を聞いて思い出す。電話の相手は栞だった。
完治「あ!ああっ!瀧沢です!あっ、傘、受け取ってもらえましたか。」
栞 「はい。ありがとうございました。頂いた名刺にはこちらの銀行のお電話番号しかなかったので…ああ、すいません。お仕事中に…」
完治「あっ、いいえ。うれしいです。」急にニコニコとテンションのあがった完治を、いぶかしげに見る篠田に気づき、若干改まり「…お電話をちょうだいいたしまして……少々お待ちください。」、篠田には「大事なお客様なんだ」と退室を促す。
 
栞 「あ、傘……本当にありがとうございました。」
完治「こちらこそ。受け取ってもらえて、ホッとしました。……もしもし?」
栞 「……あーー…あの、直接お会いして、お礼を申し上げたいのですけど…」
椅子から立ち上がり喜ぶ完治。「はい、もちろん。もちろんです!」
部屋の外で、中の様子を伺っていた篠田は、ぶすくれながら去る。
 
(瀧沢家・夜)
美咲 「ねえ、どう思った?春輝のこと。」
真璃子「春輝?…いい人なんじゃない?やさしそうだし。」
美咲 「まぁ、そうなんだよねー、やさしいはやさしいよねー。」
真璃子「どうして?それで充分じゃない。」
美咲 「うん…」
真璃子「彼のこと好きなんでしょ?結婚したいんでしょ?」
美咲 「好きだよ、結婚したいなーって思う程度には」
真璃子「なにそれ。大好きじゃないってこと?」
美咲 「好きで好きでしょうがないっていうのとは違うよ。ふつーに好きくらいが丁度いいんじゃない?結婚するには。……お母さんはどうだったの?お父さんと」
真璃子「なーんか押し切られちゃったって感じかなー。お父さん、強引だったし。」
 
美咲 「でも、なんだったんだろうね、あの旅行。出張だなんて嘘までついて。」
真璃子「その話しはもう、いいじゃない…」
美咲 「どうしていいの?お母さんはさ、お父さんのこと許してるの?それとも、もう諦めてるの?」
真璃子は返事しない。
美咲 「私、この家、出て行くんだからねー。」
 
(瀧沢家・昼)
水原聡美(八木亜希子)「そっかー。いよいよ美咲ちゃんが結婚かー。」
真璃子「まだわかんないんだけどね。でも自分でどんどん先に進んじゃって、私は蚊帳の外って感じよ。」
聡美 「親なんてどこもそんなものよーって私、親になったことないからわかんないけど。」
真璃子「……そうなのかなー。……あっ!こないだもらった本、すっごくおもしろかった!もう、ね、一気に読んじゃった。」
聡美 「ほんとー?評判いいんだー、これ。」
真璃子「でしょー?でもすごいよねー、人気ミステリーの翻訳家なんて、なろうと思ってもなれるもんじゃないわよね、簡単に。」
聡美 「まあ、がんばってきたわよ。雨ニモマケズ、風ニモマケズ……離婚の荒波も乗り越えて。」
真璃子「そうでしたね。」
 
聡美 「あ、離婚と言えば、須藤先輩が離婚したの、知ってる?……今、狙い目かも。脱サラしてパティシエになってたじゃない?そのお店が今、すっごい人気なんだって。」
真璃子「そうなんだ、知らなかった。」
聡美 「真璃子、むかし好きだったよねー。」
真璃子「好きっていうか、あこがれてただけよー。」
聡美 「だったら私もよ、かっこよかったもんねー、須藤先輩…今度、青山に新しいお店を開くんだって。レセプションパーティーがあるって聞いたけど、メールまわってきてない?」
 
(瀧沢家・朝)
聡美が転送した、須藤武史のレセプションパーティーのメールを完治に見せる真璃子。
 
朝の支度をしながら、完治「そっか。武史がね。」
真璃子「すごいわよね。マスコミに結構、取り上げられているんだって。私、ぜんぜん知らなかった。」
 
「ねえ、一緒にお祝い行かない?」と真璃子は完治を誘うが、「いいのかなー、他のゼミのやつでも…」と完治は乗り気ではない。「わからないけど…たまにはいいんじゃない?懐かしい顔に会うのも。」「俺は無理だな、忙しいから。」と真璃子を置いて、一階へ降りていく完治。
 
取り残され、「そう、言うかと思ってた。」とつぶやく真璃子。
 
完治 「なんだったら、おまえ、行って来いよ。行ったら行ったで楽しいだろうから。」
真璃子「どうしようかな……。」
 
完治が改まって「あのさ。……今晩、ちょっと話したいことがあるんだ。パーティ帰ってからでいいから。」と言う。「話したいこと?」と真璃子は会話を続けようとするが、完治は「時間だ、行ってくる。」と遮り、出かけてしまう。
 
(若葉銀行・新宿支店)
完治が行員の前であいさつをしている。
「ここでみなさんと過ごした日々は、人生の宝です。と同時に、気の抜けない日々でもありました。これからは、たまにはハメを外したりしたいと思いますので、よかったらつきあってください。今日までありがとうございました。」
軽い冗談のつもりだろうが、浮いている。秘書・篠田だけは涙ぐんでいる。
 
花束を手に去ろる時、支店内を振り返る。
 
完治《ここにはもう、いつもの日常がある。俺がいなくても、なにも変わらない……》
 
篠田は遠くから見守る。
 
完治は支店から出てすぐ、花束を路上のごみ箱に捨てる。
 
(瀧沢家・昼)
須藤武史(岡田浩暉)の店のホームページを眺める真璃子。
続いて、聡美の本の翻訳者紹介の写真を眺める。
 
真璃子《前までは素直にすごいと思えてきたのに、今は取り残されたような気持ちになる。娘が出ていったら、私にはなにが残るだろう……》
 
玄関のチャイムが鳴り、宅配便が届く。送り先・送り元ともに完治だった。
 
リビングに運んだところで底が抜けてしまい、書類が散乱する中から、篠田からの「お世話になりました。」のカードと小さなプレゼントを見つけて、内心複雑そうな真璃子。
 
 
(写真展)
マッターホルンの大パネルの前で、完治と栞。
 
完治はポストカードに気を取られるが、栞はなにかを見つけ、足早に進む。そこにはエーデルワイスの写真パネルが。
 
(居酒屋)
完治「本当に好きなんですね、エーデルワイス…」
栞 「だから、すごいうれしかったです。すみません、なんだか気を遣わせちゃって…ほんとにありがとうございました。」
完治「よかったです。」
 
酒をふくみ、完治が「今日、銀行をやめてきました。」と栞に告げる。二人の背後にいた店主・徳田(小野武彦)の耳にも入り、驚いた顔。
 
栞 「そうなんですか……」
完治「明日からは荻野倉庫の社員です。」
栞 「じゃあ同じ職場ですね。……私も正直に言います。」と自分で吹き出し、「ごめんなさい。ドイツ語ができるフリをして…。ガイドブックを読んだだけです。」
完治「あ、そうだったんですか!」と笑うが、
栞 「それから…、結婚はしていません。」とバツが悪いといった表情で「見栄を張りたかったのかもしれませんね…独りぼっちの寂しい女みたいに思われたくなくて。」
完治「いや、そんなこと思わないですよ。」
 
栞 「私、20代の時に父が脳梗塞で倒れて、その介護を10年続けて、ちゃんと見送って。そしたら今度は母が糖尿病で倒れて、認知症がはじまって…だから、男の人と付き合っても長続きしませんでした。」
 
栞は自嘲的に笑って続ける。
「だぁって、子泣きじじいみたいに親を背負ってる女、イタくて、誰だってヒクでしょう。」
「私……瀧沢さんとスイスでお会いした前の週に、ずっと家で介護していた母を、施設に預けたんです。家に一人で居ても、やることないんですよね。急に自分の時間ができても、だから母のことばっかり考えて。…どうしてるんだろう。寂しがってないかなーとか。私のことももう、娘だってわからなくなっているんですけど…。親の介護で30年、自分の人生半分以上使って、私の人生ってなんなんだろうって。でも、家にいるからそういうこと考えるんで…そうだ、思い切って旅に出ようって…それで、スイスに行っちゃいました。……それで、瀧沢さんと……お会いできたんですけど。」
 
徳田「はい、サービス!いぶりがっこ。秋田の方言で”がっこ”は漬物。」
小皿を差し出す。
 
「いただきます。」ポリポリと響く。
二人は「ん!おいしい!」と満足そうに笑う。
 
完治「いい店でしょう、ここ。見た目、アレだけど…」
徳田「悪かったね、見た目アレで。」
完治「ああ、いや…そういう意味じゃなくて」と笑い合う。
 
(瀧沢家・書斎)
真璃子は、完治の机に届いた荷物を運ぶ。
篠田からのプレゼントがどうしても気になる。
 
思い切ってリボンをほどき、中を見ると、高級そうな箱にネクタイピンが入っていた。
 
完治『ああ、ネクタイだって。後輩たちがプレゼントしてくれた。』
美咲『これ、女の人が選んだよね。
 
完治『すまなかった。スイスには一人で行った。』
 
聡美『浮気だったりして』
 
真璃子は篠田からの「お世話になりました。」のカードをまた見つめる。
 
(外・橋の上)
栞 「きれいな夕日。」
完治「ほんとですね…」
栞 「最近、よく立ち止まって、夕日見ちゃうんです。若い頃も見てたけど、なんだかあの頃と感じ方が違う。今は見てると悲しくなる。そういう時、隣に誰かいてくれたらな、って思わなくないです。…いつもじゃなくて、時々でいいから。」と歩きだす。
 
「はい!」と手を挙げる完治。振り返った栞に「僕でよかったら、居させてください。いつもじゃなくて、時々でいいですから…」とうなづく。笑い合いながら歩みだす。
 
※通常、完治の一人称は「私/俺」なのに、はじめて「僕」と呼ぶ。
 
(外・帰路)
通知音が鳴り、完治がスマホを見ると「やっぱりパーティーに行ってきます。帰り、遅くなります」と真璃子からのメッセージ。
 
井上『奥さんには?相談したのか?環境の変化には家族の理解も必要だぞ。』
 
(パーティー会場)
入り口の須藤武史の写真を見ている真璃子に聡美が気づき、声をかける。
 
聡美 「瀧沢先輩は?」
真璃子「仕事が忙しいんだって」
聡美 「そっか、でも一人で来て、大正解!ダンナなんていないほうが、羽伸ばせるしね。…あそこよ、お目当ての人は。」
 
目線の先には、新作ケーキを来客にすすめている須藤。
 
「さ、挨拶してらっしゃい。」と聡美が促すが、「いい、いい。後でいい。」と尻込みする真璃子に、構わず聡美は大きな声で「須藤さん!」と呼びつける。
 
「真璃子!」と駆け寄り、「ありがとう、よく来てくれたね」と両手で握手をする須藤。
真璃子「お久しぶりです」
須藤 「何年振りだろう。変わらないな、真璃子は」
真璃子「須藤さんこそ、全然変わらないです。」
須藤 「そんなことない!おじさんになったよ」と笑う。
 
一人でケーキを見てまわる真璃子。
向こう側で、会話が弾み笑い合う聡美と須藤を見て、真璃子は「帰ろうっかな…」とひとりごと。
そこに入り口に完治の姿が。近寄る真璃子。
 
「来ると思わなかった。気が変わった?」「ああ」と二人が会話する向こうで、聡美が完治に気づき、須藤が「完治!」と呼びながら近づく。
 
完治「おめでとう。がんばったな、武史。」
須藤「よく来てくれたな。ありがとう。自分でもよくここまで来れたと思うよ。いや…、商社にいた間は、ハタからは充実して見えたかもしれないけど、なんかこう、しっくりきてなかったんだよ。でも食材の輸入を担当しはじめて、カカオやドライフルーツの魅力にハマって……ああ、すまん!こんな話し、おまえには退屈だろ?」
完治「でも正直、10年目におまえが会社を辞めた時、バカなことするなと思ったよ。いい歳して甘いこと考えるなって。でも今は、おまえだからできたんだと思ってるよ。」
須藤「俺はおまえみたいに、組織の中でいろいろあっても、迷わずに王道歩いてる男が一番立派だと思ってる。銀行の支店長か…、すごいじゃないか。これからも王道を突き進めよ。」
 
「いや、俺は…」とことばに詰まる完治を見て、真璃子は意外な風に完治を見上げる。
 
「須藤さん!写真お願いします!」と声がかかり、須藤が離れる。
 
気を遣いながら真璃子が「すごい人気ね」と声をかけると、「ちょっといいか」と連れ出す完治。
 
エントランスで、「聞いてほしいことがあって、今。」と完治。
意を決したように、真璃子は「あの、ネクタイのこと?」と先に切り出す。
 
完治 「ネクタイ?」
真璃子「女の人からもらったんでしょう。」
完治 「おお、部下の女性からもらったけど」とわけがわからない風。
真璃子「今日、銀行から届いた荷物の中に、あなたへのプレゼントのネクタイピンが入ってたの。お世話になりました、篠田薫…っていう人から。その人だれ?お世話になりましたってどういうこと?」
完治 「ああ、それはもう、なんでもないんだ。」
 
軽くとらえている完治に、真璃子は「なんでもないわけ、ないでしょう!」と声を荒げてしまう。会場内にも響いてしまった様子に気づき、完治は「行こう。帰って話す」と外に連れ出そうとするが、真璃子は肩にまわされた腕を振りほどき、「今日、聡美の家に泊まるから」と。
 
完治が「まだ話し、終わってないんだよ」と呼び止めようとするが、「もういい」と真璃子は会場内に戻ってしまう。
 
(聡美の家)
聡美 「それって絶対、浮気してるね。その薫って女、そうとう性格悪いね、ここに居ますってアピールしてんのよ。スイスにもその女と行ってたんじゃないの。」
「そっかぁ…そうっかなあ?」とまだ半信半疑の真璃子に、「なに、まだダンナのこと信じたいの?」
 
真璃子「ウチの人、家のこと全然かえりみない人だけど、そういうとこだけは絶対しない!って信じてるんだよねー。結婚する時も、そこだけは信じてた。でも…そうだとしたら、私の勘はやっぱり当たってなかったのかなぁ。」
 
聡美 「あのね、真璃子。男の八割は浮気すんのよ?それなりに収入があって、見栄えも悪くない男なら、十割。だからダンナにそんなこと期待しちゃだめ。亭主は財布って割り切ってさ、こっちはこっちで好きなことすればいいのよ。」
 
真璃子「好きなことって?」
聡美 「恋人つくるとか!」
真璃子「まさか!」
聡美 「まさか!じゃないでしょう。真璃子、まだ割ときれいなんだし。」
真璃子「ありがとー、気ぃ遣ってくれて!」
聡美 「どういたしまして。……ああーやっぱ今日、かっこよかったな、須藤先輩。ちょっと高めだけど、私やっぱり狙っちゃおうかな。」
笑いながら真璃子「いいんじゃない?」
聡美 「ね。いいよね。私まだイケてるよね。」「イケてる!」「ね!」と笑いながら乾杯する二人。
 
(瀧沢家)
夜。真璃子からの「今日は聡美の家に泊まります」のメッセージを見ながら、ビールを開ける完治。
 
朝。一人で支度を整え、家を出る完治。
 
(荻野倉庫)
完治はまたトラックにクラクションを鳴らされる。
食堂を横目に、栞を思い出しながら、事務所に向かう。
 
「長年お世話になっている若葉銀行さんから、財務総務部長としていらした瀧沢さんです。支店長を勤められたくらい優秀な方ですから、まあウチでは能力を活かしていただけるような仕事はないかもしれませんけどね。みんな、失礼のないようにね。」
 
紹介され、完治は「よろしくお願いします。」とあいさつするが、誰もこたえない。川本保(中川家礼二)に「はい、仕事!」と促され、「はーい」と席につく社員たち。
前途多難だ。
 
(瀧沢家)
昨夜のパーティーのかっこうで、帰宅する真璃子。昨夜の完治のひとり晩酌のグラスや皿がシンクに残されているのを見る。「流しに下げてあるだけマシか…」とつぶやく。
 
(荻野倉庫)
完治が書類を手に立ち上がり、おそるおそる声をかけるやいなや、川本がかぶせ気味に「おーメシ行こうか。」と課内のメンバーに声をかける。「今日外行こう。おごるおごる。」と気前がいい川本に、女性社員たちは賑やかに席を立つ。完治は蚊帳の外。
 
課内には、ラガーシャツやラグビーボール、電車模型(Nゲージなのかな)など、川本の趣味の品が並んでいる。ラグビーボールに完治が触れようとしたのを、目ざとくみつけ、シッシと追い払う川本。
 
※電車模型はNゲージかな。電車もラグビーも、川本というより礼二本人の趣味ですね。
 
完治は食堂を覗き、小俣房江(山口美也子)に「目黒さんは?」と声をかける。
栞は、母親の具合が悪く休みだと言う。
 
次に屋上に。完治が近づいたからなのか、たまたまなのか、作業服の男性らがそそくさとベンチから席を立つ。
 
完治はスマホがないことに気づく。
 
屋上から自席に戻り、デスクやカバンを探すがスマホが見つからない。
 
※事務所はL字型に屋上に面している。
 
 
(瀧沢家)
洗いものをしているとキッチンハーブが目に留まる。真璃子は思い返す。
 
ハーブティを一緒に入れた時の笑顔の春輝
玄関で振り返り真剣に真璃子を見つめる春輝
 
ダイニングテーブルに置きっ放しになっていた、完治のスマホが目に入る。
 
聡美 『男の八割は浮気すんのよ?それなりに収入があって、見栄えも悪くない男なら、十割。』
 
真璃子『あなたへのプレゼントのネクタイピンが入ってたの。』
完治 『それはもう、なんでもないんだ。』
真璃子『なんでもないわけ、ないでしょう!』
 
真璃子はスマホを操作しようとするが、自制する。
 
 
(若葉銀行・新宿支店)
女性行員に話しかける真璃子。
 
「すみません、瀧沢の妻です。主人が携帯を家に置き忘れてしまって…取り次いでいただけますか。支店長の瀧沢です。」
「た…瀧沢さんですか…。少々お待ちください。」
 
女子行員は、支店長秘書の篠田に引き継ぐ。
 
篠田 「支店長の松井にご用でしょうか。」
真璃子「松井?…あ、いえ。瀧沢です。」
驚き、ことばを失う篠田。「申し訳ございません。瀧沢支店長は、……今月で、荻野倉庫に出向になりました。」
真璃子「荻野倉庫?」
篠田 「川崎にある、物流会社です。奥様は、ご存じありませんでしたか。」
 
伏し目がちに目をそらした先に、篠田薫の社員証が目に入り、カードのメッセージと名前を思い出す。篠田の顔を見る真璃子。
 
(荻野倉庫)
社内から外に出てきた完治は、トラックにクラクションを鳴らされる。(3回目)
「あぶないな、もう」とぶつくさと言う。
 
通りかかる栞と目が合う。
 
(若葉銀行・新宿支店)
ことばが出ない真璃子と、自信まんまんの篠田。
 
(荻野倉庫)
会釈のように目線を下にはずし、近づく栞。(完)
 

第2話:まとめと、言いたい放題ドラマ評

(まとめ)
  • LINEやインスタではなく、住所を聞いてしまうところがアラフィフ。
  • 弁護士でハーブティもおいしく入れる流星。
  • 出会いは「合コン」と屈託なく言う平成世代。
  • 調子いい新支店長や手のひら返しの行員達。
  • 黒木の環境を知り「時々でいいから隣に居させて」とか「同じ職場ですね」とか内心ニヤニヤの蔵之介。
  • 完治は出向を決意するが、荻野倉庫でも針のむしろ状態。
  • 本仮屋を浮気相手と勘違いしたままの中山は忘れ物を銀行に届け、出向になったことを知らされる。
(言いたい放題ドラマ評)
黒木にしても、流星にしても、まず距離感近いんだよね。自分の彼女の母親に、あんなに顔寄せてしゃべらないでしょう。
 
それに、気持ちの距離感も急に詰めてくる感じが、似てる。
蔵之介や、中山は、まあナレーションも入るので心の機微が伝わってくるが、黒木や流星は、相手に好意を持つ経緯がちょっとよくわからない。
それまで素っ気ない態度にも見えたのに、宅配便の箱見るだけで喜んだりして、「ああなんだ。うれしかったのね」と面食らう。
 
元商社の脱サラパティシエの須藤。岡田浩暉はこういう役柄、多いですね。
大学卒業して30年近く経つのに、「須藤先輩」とか呼んだり、「かっこよかったよね」とキャアキャア言うのとかも違和感。わたし、学生時代からの友人がいないのでわからないのですが、ほんとにそんな40代って居ます?
 
それよりも蔵之介。
ギラギラで、ニヤニヤなのが、本当に、ちょっと、もう…なにこれ。
ぜんぜん「黄昏」って感じじゃない。
 
1話冒頭、黒木のナレーションでは
 
《あたかも黄昏の空に飛びこんでくる流星のような、最後の輝きとなるかもしれない。この熱い想いを秘めつつ、落ち着かない日々を送る大人達を、黄昏流星群と呼ぶ》
 
とありました。
蔵之介は「熱い想い」がダダモレで、全く「秘めて」いないように感じる。
これが「黄昏流星群」ですか。そーですか。
 

次回

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