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主に過去のドラマを、一気に見てあらすじ・まとめ・レビューをしています。

【黄昏流星群】第3話:まるっと文字起こし

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黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜 【第3話】

黄昏流星群

黄昏流星群 - フジテレビ

(荻野倉庫・入り口)
目黒栞(黒木瞳)は会釈のように目線を下にはずし、近づいてきたが、瀧沢完治(佐々木蔵之介)が見つめるの前を素通りする。
 
「あの…今からお仕事ですか。」と完治に尋ねられ、栞は振り返り「はい。」とだけ答える。「あ、すいません。つまんないこと聞きました。」と言いつつ、終始笑顔の完治。栞はすぐ立ち去る。
 
搬出口から遠巻きに、その様子を見ている完治の部下・木内祐輔(笠松将)。
 
(荻野倉庫・食堂裏口)
先ほどの木内が「目黒さんて、あの銀行さんと知り合いなんスカ。」と、ごみ捨てに出てきた栞に聞く。答えられず、目線をそらす栞。
 
(瀧沢家・寝室)
薄暗い室内で、ベッドに腰掛ける瀧沢真璃子(中山美穂)。
 
篠田 『申し訳ございません。瀧沢支店長は、今月で、荻野倉庫に出向になりました。』
真璃子『荻野倉庫?』
篠田 『川崎にある、物流会社です。奥様は、ご存じありませんでしたか。』
 
※先週のカメラワークと異なり『奥様は、ご存じありませんでしたか。』の篠田がカメラ目線で誇張。
 
瀧沢の妻を失笑するかのように、篠田の口角があがる。
 
完治のスマホの画面を操作しようとするが、また自制する真璃子。
 
「ただいま」と完治は部屋の電気をつけ、「真璃子」と声をかける。
 
真璃子「どうして黙っていたの?」
 
完治は真璃子の手に、自分のスマホがあることに気づく。
 
真璃子「見てない。……見たかったけど、怖くて見られなかった。それだけはやめようと思って。…新宿の支店に届けに行ったの。そしたら、あなたは出向になった。ここにはいないって言われた。篠田薫さんっていう、秘書の人から。その人、私の顔、かわいそうに、っていう顔で見てた。なんだろう…あの顔。優越感?自分のほうが、ご主人のことずーっとよく知ってますよ、みたいな。なんであんな顔されなきゃいけないんだろう。」
 
自分のベッドに腰掛け、栞に向かい完治は「申し訳なかった。」と丁寧に頭を下げる。
「出向を黙ってたのは、すまなかった。」とまた頭を下げる。
 
完治 「内示を受けた後、俺もどうしたらいいか迷ってた。自分の心の中で整理をつけてから話そうと思っていたんだ。でも彼女とは…」
真璃子「なんでもないんでしょう。出張だって嘘ついて、スイスに行って。出向になったことも黙ってて。そんな人の言うこと、信じられると思う?」
完治 「そうだな、弁明の余地はないよな。でも、本当になんにもないんだ。」
真璃子「そうだとしても…、そうだとしても、嘘ついてた事実は消えない。」と語気を強める。完治はなにも言えない。
 
真璃子「ずーっと我慢してきたのよ。あなたが仕事で、約束をすっぽかしても、子育てに協力的じゃなくても、あなたは仕事が好きなんだから、仕事に命をかけてるんだから、って…。でもね、その仕事で起きた大事なことを、出向だなんていう大事なことを、なんで黙ってたの。なんで真っ先に言ってくれなかったの。私はそれが、一番辛い。私って、そんなに頼りにならない?」
 
うなだれる完治。
 
真璃子は立ち上がり、「私があなたの奥さんでいる意味って、なんなのかな。」と言い捨て部屋を出る。
 
(瀧沢家・二階廊下)
娘・美咲(石川恋)が「ただいま」と言いながら、部屋から出てきた真璃子を見て、ただならぬ雰囲気を察し「どうしたの。」と聞く。
 
さらに部屋から出てきた完治を、深刻そうな顔で見る美咲。
 
(瀧沢家・リビング)
美咲「まじでありえない。どうして出向、受けちゃったの?」
完治「上からの命令だ。受ける・受けないの自由なんかないんだ。」
美咲「それでも、断るとか粘るっていう選択肢はあったでしょう。支店長降ろされても、せめて私が結婚するまでは銀行員でいてほしかったのに!」
 
ダイニングテーブルについていた真璃子が振り返りながら、「あなたの彼はそんなこと気にする人じゃないでしょう。」
 
美咲 「彼が気にしなくても、彼のお母さんや親せきの人はきっと気にする。そういうウチなの。彼のウチは!」
真璃子「でも、結婚は、当人同士のものだし。」
完治 「待てよ、その話だけど。いつの間に結婚っていうところまで進んでいるんだ。俺はその、彼というか、そいつには会ってもいないんだぞ。挨拶もすんでいないのに、結婚が早すぎんじゃないか。」
美咲 「だから!この前彼が、挨拶に来てくれたのに、それすっぽかしたのはお父さんのほうでしょう!しかも、仕事が理由で!」
完治 「……そうだった。ごめん。」
 
「美咲、お父さんもがんばっているんだから。」と真璃子は諭すように声をかけるが、美咲はハイハイといったように、うなづきながら続ける。
 
美咲「そうだよね、お父さんだってがんばってる。そうやって今まで、いろんなこと許してきたの。約束すっぽかされるの、一度や二度じゃなかったけど!…でも、きっと近所の人とかみんなにわかっちゃうよね、こういうことは広まるの速いから。」と言い捨て、部屋を出て行く。
 
(瀧沢家・朝)
みんな無言で朝食を食べている。
 
「ごちそうさま」と、キッチンに食器を下げる美咲に、完治が「今度、彼連れて来なさい。週末なら、基本、空いてるから。」と声をかける。目もあわせず、部屋を出る美咲。真璃子が「いってらっしゃい」と声かけても、返事がない。
 
真璃子「ごちそうさま。」
完治 「昨日はありがとう。美咲の前で、俺の肩持ってくれて。」
真璃子「そうでもしないと、美咲が収まらないでしょう。」と素っ気なく言う。
 
(電車内)
電車に乗り込み、空席に座る完治。
 
完治《これからは座って行けるだけ、マシってことか…》
 
喪服の女性が乗り込んできた。顔見知りの完治に気づき「あ、おはようございます。」と隣に座る。
 
女性「ちょっと、実家で法事がありまして。でも、瀧沢さん、お珍しいですね。お勤めは逆方向じゃ?」
完治「あの今月から、勤務先が変わりまして…」
女性「あっ…そ、そうですか…」とそれ以上、触れなかった。
 
(荻野倉庫・倉庫内)
倉庫のらせん階段を下りながら、倉庫内を見渡す。
 
川本保(中川家礼二)「ここの倉庫のキャパシティが、二千百十トン。一日、五十トンからの荷物が、出たり入ったりしますわ。へっへ。」と完治に倉庫内を説明してまわる。
 
完治「おお、すごいですね」と、フォークリフトに手を伸ばす。
川本「なっ!さわったらあきまへんで!素人が下手にさわったら、大けがしますよ!労災で、治療費請求されても面倒なんでね!」
完治「すいません…」
 
川本に追いつこうと、完治が進もうとしたところ、目の前に別のフォークリフトが横切り、驚く。
 
川本「おい、山田。今日、なんパレくらいなん、入荷は。」
山田「そうですね、今日はえー、22パレです。」
川本「出荷は。」
山田「20パレです。」
川本「おぅ、今日の分は大丈夫そうやな、頼むで。」
 
社員とことばを交わし、足早に去る川本を追いかける完治。
 
完治「あの、パレとはなんでしょう?」
川本「パレットのことや、あのー荷物の下にこうね…。荷物の単位ですよ。」
 
「あ、パレとは、パレット!」と張り切ってメモしながら「それと…」と質問を続けようとする完治。
 
川本「あ、いやね、瀧沢さんね、今からね、勉強しなくてもいいですよ。あの、現場は今のメンバーで充分回ってますしね。瀧沢さんはあのー、ご自分の椅子に座って、おとなしーくしといてください。」
 
(荻野倉庫・事務所)
2010年度から2017年度までの事業報告書ファイルが並ぶ。2013年度の次が、2016年度だ。
 
完治「川本さん、2014年と15年の事業報告が見当たらないんですが、どちらにありますか。」
川本「ご自分で探されたらどうですか。」
完治「あ…ご自分で……」言葉に詰まる。
 
川本は課内のメンバーに「お、メシ行こうか。」どこに行くかとか、いただきます!などとワイワイいいながら、完治を残して出て行ってしまう。
 
(荻野倉庫・食堂)
栞の姿を見て、喜ぶ完治。「A定食お願いしますー!」「A定食ひとつー」と素っ気ない栞。他社員「A定食ねー」栞は完治の時と変わらない調子で「はーい、A定食ー」と調理場に伝える。
 
栞の同僚の小俣房江(山口美也子)「お客さん!そこ突っ立ってないで!邪魔!」と完治に呼びかける。
 
(荻野倉庫・屋上)
ベンチに腰掛け、一人で缶コーヒーを飲む完治。
 
完治《そりゃそうだ。あたりまえだ。俺だけにニッコリなんてできないよな。でもヘコむなー。こんなにヘコむか?》
 
スマホが鳴り、見ると栞からのメッセージだった。
 
栞 《先ほどは失礼しました。気にしてませんか》
 
食堂のロッカー室でひとり、椅子に腰掛けスマホを操作する栞。
 
完治《いえ、全く気にしておりません。》
栞 《社内では、あまり親しくしないほうがいいと思ったんです。瀧沢さんのお立場もありますし》
完治《おっしゃる通りです。お気遣い、恐れ入ります》
 
既読がつくが、返事がない。
 
完治《社外では、お会いできますか》
栞 《はい》
 
静かに喜ぶ完治。
栞は窓の外の、遠くの山並みを見る。
 
栞 《いつか一度、山に行きたいですね》
 
立ち上がり、同じ山並みを屋上から見る完治。
 
完治《行きましょう!》
完治《是非、近いうちに》
 
(荻野倉庫の近くの橋)
帰路。
(電車内)

完治《気が付くと、あの人のことを考えている。》 

(荻野倉庫・食堂)
栞が社員へ「はい、お待たせしましたー」と食器を差し出す。
食堂の一番奥の席で食事をとりながら、完治は栞の働く姿を見つめる。
(荻野倉庫・事務所)
デスクワークをこなす完治。
 
終業のチャイムが鳴る。
 
川本らは「お疲れさま」などと互いに声をかけあい、席を立つ。
 
完治も「お疲れさまです」と立ち上がり、みなに声をかけるが、誰も反応せず一人残される。
 
システム手帳に挟まれた、エーデルワイスのカードを見ながら思い出す。
 
写真展でエーデルワイスの写真パネルを眺める完治と栞。
 
「隣に誰かいてくれたら」と言う栞に、「僕でよかったら居させてください。時々でいいから」と答える完治。笑う栞。
 
完治《一日の最後に思い出すのは、職場での辛い出来事ではなくて、あの人の顔だ…》
 
(荻野倉庫の近くの橋)
スマホが鳴る。栞からのメッセージだった。
※この前のメッセージとは別の日。
 
栞 《来週の日曜なら、あけられます。》
完治《では私もあけておきます。どの山がいいか考えておきます!》
 
スマホをポケットにしまい、歩き出すが軽くジャンプし、明らかに浮かれている完治。
 
完治《こんな気持ちは何十年も忘れていた。》
 
(居酒屋)
完治《歩いたり、メシを食ったり、職場の机の前にいる時。ただ相手の顔がむやみに頭に浮かんで仕方がないなんてということは……》
 
なにも語らないが機嫌よく、食事をし酒を飲む完治。それを指摘もせず、見守る店主・徳田(小野武彦)。
 
(瀧沢家・風呂)
風呂に入る完治。
 
脱衣所では、真璃子が洗濯物を洗濯機に入れている。
脱衣所の完治の脱いだズボンから、電話が鳴り、真璃子が脱衣カゴを見ようとする。
 
ベルに気づいた完治は、あわてて風呂のトビラをあける。
真璃子はあわてる完治をいぶかしげに見ながら、ズボンごと完治に差出す。
完治はポケットのスマホを取り出す。
 
銀行の同期・井上秀樹(平山祐介)からだった。
 
完治「どうした井上!どういうことなんだ!」とわざとらしく話しはじめ、元同僚からだと真璃子にアピールする。
 
(バー)
同僚と飲んでいる井上。
※井上含め4人で飲んでいるのに、つまみが小皿1つだけ。
 
井上「実はちょっと、おまえの耳に入れておきたいことがあるんだ。この前の守口専務の左遷、あれ、裏があったんじゃないかっていうウワサが出ている。パワハラは、反対派の金田常務まわりのねつ造だったんじゃないかって。」
 
(瀧沢家・脱衣所)
腰にタオルは巻いたが、そのまま話し続ける完治を横目に、去る真璃子。
 
完治は金田常務と聞き、料亭前で頭取のご機嫌取りをしていたことや、左遷を言い渡された頭取室で頭取と並んでうなづく金田常務を思い返しながら、電話を続ける。
 
完治「えっ……」茫然とする。
井上「あ、現段階ではウワサでしかないんだ。」
完治「ああそうか…でもすぐに現状は変わらんだろう。」
井上「可能性はなくもない。…それでだ。来週の日曜、行内でゴルフコンペがあるんだが。おせっかいだと思ったが、アテンドでおまえの名前も書いておいた。」
完治「いや、今さらオレが行ったところで、場違いだろう。」とあわてる
 
井上「いや、この機会に存在をアピールしておくことは無駄じゃない。叶うなら戻りたいという意思を、頭取や幹部に伝えておくことも。状況は明日にも変わるかもしれなんだからな。ラストチャンスかもしれないんだぞ。とーにーかく、来週の日曜、だぞ。また連絡する。じゃあな。」
 
(瀧沢家・書斎)
スマホのスケジュールを見る完治。次の日曜日である10月21日には、赤くマークがついている。
 
井上『ラストチャンスかもしれないんだぞ。』
 
(栞の自宅)
台所で洗い物をする栞。
居間には、山用のリュックとキャップが用意されている。
 
玄関や廊下には、母の車いす用にスロープが後付されている。
 
冷蔵庫に貼られた母のいる「こはるの里」の献立表。
10月21日には、赤ペンで丸印が付けられているのを、眺めて、少し微笑む栞。
 
(聡美の自宅)
真璃子がリビングで紅茶を入れている。奥の書斎で、パソコンに向かう 水原聡美(八木亜希子) 。
 
聡美 「やっぱり、なんか、におう?」
真璃子「おかしいのよ。お風呂場に置いてある携帯が鳴ったら、あわてて出てきて電話にでたりするの。」
聡美 「それは黒だね。どう考えても。」
真璃子「そっかー、黒か…やっぱり。」
 
聡美はキッチンにまわり、「で、どうすんの?」とパンをリビングに運び、真璃子の横に座りながら、パンを頬張る。
 
真璃子「どうしようもないんじゃない。
聡美 「離婚とか考えないの?考えたこともない、ってわけじゃないでしょ。」
真璃子は「そうねぇ」とハッキリしない。
 
聡美 「確かに専業主婦の離婚は難しいよね。でもね真璃子、知ってた?専業主婦であっても、結婚後にダンナが稼いだ半分は、離婚のとき妻が受け取る権利があるんだよ。ま、だからって、老後まで補償されるわけじゃないし。ダンナはATMって割り切って、退職金もらうまで待ってた方が得って話しもあるけど…ただ、私は離婚してよかったなーって思ってる。だって人生、あと30年あるのよ?気の合わない相手と暮らす、精神的苦痛をカネに換算したら、トントンかお釣りがくるでしょう。」
 
真璃子「そっか。」
聡美 「仲よさそうに見えて、家庭内離婚している人もごまんといるしね。人生の後半頼りになるのは、近総で遠いダンナより、近くの友だちだよ!だから、応援するよ。真璃子が離婚したくなったら、いつでも言って!」
真璃子「やめてよ。私、離婚したいって、ひとっことも言ってないし。」
聡美 「そっか。」と笑う。
 
(瀧沢家・リビング)
パソコンを広げる真璃子。「専業主婦 離婚」と打ち込み、検索し、「専業主婦が知っておきたい損しない離婚の方法」というページを見る。
 
(外・瀧沢家の前)
美咲の交際相手・日野春輝(藤井流星)が、家の前で足を止め、電話をする。
春輝「もう着いたよ、すぐ出れそう?」
 
(瀧沢家・美咲の部屋)
美咲「まだちょっと。ドア開いてるから、入って待ってて。」
 
(瀧沢家・リビング)
真璃子がパソコンを見ている背後から、春輝が入ってくる。
春輝は画面の「専業主婦が知っておきたい損しない離婚の方法」というページタイトルを見てしまう。
 
春輝が「あの…」と声をかけると、真璃子はあわててパソコンの画面を閉じ、「美咲と約束ですか。…今、呼んできますね。」と立ち上がり、二階に向かって「美咲!」と呼ぶ。降りてくる美咲に、真璃子は「春樹さん呼んだんならそう言ってよ。」とたしなめるように言って、春輝には「今、お茶入れますね。」と。
 
春輝 「どうぞ、お構いなく。もうすぐ出ますので。」
美咲 「なにもしなくていいよ。今日は春輝のウチに行くの。」
春輝 「母が一度、家に連れて来なさいってうるさくて。」
真璃子「え、初めてお宅に伺うの?それならそうと早く言ってよ。大丈夫なの?美咲。手土産とかちゃんと、持った?」
美咲 「それも途中で買うから、心配しないで。」
真璃子「そう」
 
春輝は、終始あわてた様子の真璃子を見つめる。
 
(日野家・門~玄関)
先に進む春輝と、立派な門や家、広い庭を軽く見まわしながらついて行く、美咲。
 
(日野家・玄関)
美咲は、春輝と美咲のクツをそろえる。
 
美咲「お邪魔します。瀧沢美咲と申します。よろしくお願いいたします。」
日野冴(麻生祐未)「春輝の母でございます。」
美咲「これ、お口にあいますかどうか…」
 
シュークリームの紙袋を渡す美咲。
「あら……」と少し驚いたように言葉につまり、冴は「うれしいわ。シュークリーム。好物なのよ。」と続ける。美咲は冴の違和感に気づかず、春輝を見て微笑む。
 
(日野家・ダイニング)
食卓には懐石料理のような和食が小鉢が並ぶ。
冴の向いに美咲が、美咲の右隣に春輝が座り、食事を取っている。
 
冴 「そう、ミツウラ商事にお勤めなの。優秀でいらっしゃるのね。」
美咲「そんなことないです。」
冴 「お父さまは確か若葉銀行。」
美咲は一瞬、目が泳ぐ。すぐに冴に目線を戻すが、あいまいにうなづく。
 
冴 「ウチは代々、官僚の家系で、主人は財務省の主計局次長だったの。若葉銀行の以前の頭取のイワシタさんとは、大学の頃からとても仲が良かったのよ。ご縁があるのねぇ、きっと。」
美咲「そうですね。」と微笑み応えるが、すぐに笑みが消える。
 
美咲の異変に気付いた、春輝は美咲を見つめる。
 
(日野家・リビング)
ロッキングチェアに、ひざ掛けをかけ、お茶を飲む冴。
美咲を見送り、春輝が戻る。
 
春輝「お母さん、大丈夫?疲れてない?」
冴 「大丈夫よ。今日は調子がいいの。」
春輝「美咲のこと…どう思った?」
冴 「そうねぇ……ホッとしたわ。キチンとしたウチのお嬢さんで。いいお嬢さんじゃないの。」
春輝「そうだろ、いい子だよね。」
冴 「でも…お土産を袋のまま渡すのは、どうなのかしら。そういうこと、おウチで教わらなかったのねぇ。」
 
(瀧沢家・寝室)
帰宅し、着がえながら完治は「落ち込んでる?なんで。」と真璃子に聞く。
 
真璃子「今日、あの子、初めて彼の家にご挨拶に行ったの。」
完治 「ああ、そうなのか。」
真璃子「あなたの出向のこと、言えなかったって。あちらのお母さまが、若葉銀行の元頭取と、亡くなったお父さまが親しかったって話しを持ち出して、話せる雰囲気じゃなかったって。」
完治 「相手には、当人には伝えてあるのか。」
真璃子「それもまだみたい。付き合ってまだ半年だし、見栄もあるんじゃない?あなたの出向が…あと一年か、せめて半年先だったらよかったのにね。」
 
(瀧沢家・リビング)
サッシを開き、デッキの椅子に座り、考える完治。
 
川本『瀧沢さんはあのー、ご自分の椅子に座って、おとなしーくしといてください。』
 
美咲『どうして出向、受けちゃったの。断るとか粘るっていう選択肢はあったでしょう!』
 
井上『ラストチャンスかもしれないんだぞ。』
 
さまざまな言葉や、出向決まった後の銀行内の様子が思い出される。
立ち上がり、満月を見上げる完治。
 
(こはるの里・母の個室)
※「向日葵」という部屋。
栞はベッドメイクをしている。
 
母・悦子(岩本多代)はテーブルで待ちながら、まんじゅうを取り出し、無断で食べ始める。
様子に気づいた栞は、「お母さん?…なに食べてんの?」と制止する。
 
「友達にもらったの!」という悦子から、栞は「ほら、夕飯……夕飯すませたでしょう。ね?血糖値あがるから。」と残りを取り上げ、食べてしまう。悦子「食べちゃったぁ…食いしん坊!もう!」と恨めしそうに栞を見る。
 
バッグのスマホのバイブレーションが鳴る。完治からのメッセージだった。
 
完治《すみません。今度の日曜、はずせない用が出来てしまいました。山は、また今度でもいいでしょうか》
 
がっかりして、椅子に座りこむ栞。
 
栞《ご事情、わかりました。ご無理なさらないでください。》
 
と送信すると、すぐに完治から《本当にすみません》と返事が。
思わず吹き出す栞。
 
悦子「どうして笑っているの?」
栞 「悲しいからかな。」と答え、「楽しいことって、長く続かないから。……あんまり期待しちゃダメよね。」とつぶやき、ため息をつく。
 
(荻野倉庫・食堂前)
ガラス戸の向こうで働く栞を見て、入らず、戻ってしまう完治。
 
完治の後ろ姿に気づき、見つめる栞。
 
(瀧沢家)
キッチンで完治は、冷蔵庫から冷えた「甲子園ビール」を何本もクーラーバッグに移し替えている。
 
真璃子「出向になっても、ゴルフ接待なんてあるんだ。」と不服そう。
完治 「いや、今日は違うんだよ、銀行の付き合いなんだよ。」
真璃子「付き合い?」
完治 「まあ、いろいろあるんだ。」
真璃子「いろいろねぇ。」と納得しない様子で、完治を手伝う。
 
二階から降りてきた美咲に気づき、「おい、早いな。日曜なのに」と完治が声をかける。美咲は「休日出勤」とだけ答える。真璃子が「いってらっしゃい」と声をかけると「いってきます」と答えるが元気がない感じ。
 
(ゴルフ場)
若葉銀行の頭取・秦が打ったティーショットが反れる。
キャディーさんが「ファーー」と叫ぶ。
常務・金田は「瀧沢君」とあごで、完治にボール探しを促す。
 
他の取り巻きが動こうとするのを制止して、完治は池に向かう。裸足になり、池のボールを取ろうと苦戦する。
  …
頭取のフェアウェイからのショットも反れる。
キャディーさんが「ファーー」と叫ぶ。
林の中に入り、ボールを探す完治。
奥の窪地から、フェアウェイ横までボールを移動させ、「ありましたー!」と叫ぶ。
  …
バンカーショットもうまく行かない頭取。
「大丈夫ですよ」となだめる一行。
  …
ティーショット。
キャディーさん「ファーー」
完治は林の中に入り、ボールを探すが見つからない、
ポケットから取り出したボールを、フェアウェイ横に出し、「ありましたー!」と叫ぶ。
  …
ティーショット。「ファーー」
  …
ティーショット。「ファーー」
   …
レーキでバンカーをならす、完治。
(ゴルフ場・クラブハウス)
完治は持参したビール瓶のふたをあけて、準備している。
 
完治「頭取、お疲れさまです。」と「甲子園ビール」を手渡す。
頭取「あっ、これ、君の差し入れ?」
完治「はい…」
頭取「そーか!私の好きな銘柄だよ。気が利くねー。ありがとう!」と労うように肩を叩く。
 
次々ビールを手渡し、井上とは目を合わせ、うなづきあう。
(ゴルフ場)
ティーショットが成功して、満足そうな頭取。
 
頭取に話しかけようとする完治に、金田常務は「えらいねー、瀧沢君!出向になっても古巣を忘れない、愛社精神には恐れ入るねー。」と話しかける。頭取を気にする完治。
 
常務「君の出向先どこだっけ?えーっと…荻野倉庫?では、よくしてもらってるの。」
完治「おかげさまで、なんとか。」
常務「そうよかったねー。」どうでもいい話しを長引かせる常務。
 
次のメンバーがティーショットを打ち、一同「ナイスショット!」の声と、拍手。
一同、ティーグラウンドから移動しはじめる。
 
完治は頭取を追いかけようとするが、常務が回り込んで「あ、まずいな。さっきのクラブハウスにスコアカード置いてきちゃった。君、取りに行ってくれるかな。我々先に行ってるから。」と言う。
(ゴルフ場・クラブハウス)
レストランのテーブルやイスを、スタッフと探す完治。
 
スタッフ「見当たらないです。」
完治「おかしいな…トイレかなー」
 
完治の電話が鳴る。
 
常務「ごめん、ごめん。スコアカードこっちにあったわ。ミズタ君が気を利かせてこっちに持ってきてくれてたわ。」
納得の行かない表情の完治だが、切り替えて「ああ、そうですか!よかった!」と明るく答える。
 
電話の向こうで、一同が「頭取!」などと盛り上がっている。
 
完治「もしもし?………もしもし!どうされました!?」
常務「すごいよ!今、頭取がチップインバーディーされたんだよ。君も早く、おめでとうが言いたいだろう。今、10番ホールだよ。ちょっと遠いかな、そこから。走ればすぐか。」
完治「はいっ!」
(ゴルフ場)
走る完治。橋、カート道、フェアウェイ……だいぶの距離を走らされる。
 
立ち止まり、ぜいぜいと肩で息をしながら
 
完治《なにをやっているんだ、俺は。ここまでして古巣にしがみつきたいか。いや、しがみつくしかないか。》
 
数歩歩くと、隣のグリーンで「ナイスイン!」などと言いあう、一行を見つける。
また、ホールカップが鳴る音がして、頭取は「さすが常務!」と金田常務と握手をし、常務も上機嫌だ。
 
完治は、遠くからその様子を眺めていた。
 
完治《ゴマすり虫の群れだな…》
 
きびすを返し、ネクタイを外しながら、完治は立ち去る。
 
(瀧沢家・寝室)
クローゼットに乾いた洗濯物をしまう真璃子。
 
プレゼントされたネクタイピンとネクタイを見つける。
 
真璃子「なんでいつまでも、これがここにあるのよ。」
 
真璃子は思い切ったように、ごみ箱にふたつを投げ入れる。
清々したというように息をついて、一度はクローゼット前に戻るが、すぐに戻って来て、捨てたものを取り出す。
ネクタイピンの箱を、ネクタイでぐるぐる巻きにすると、クローゼットのカゴの奥底に隠す。
 
固定電話の子機が鳴る。
 
真璃子「はい、瀧沢です。」
春輝 「日野春輝です。すみません。携帯電話の番号を存じ上げなかったので、お宅に電話してしまいました。」
真璃子「あぁ、ごめんなさい。美咲は今日、休日出勤で…」
 
職場である大手町中央法律事務所から、電話をする春輝。
 
春輝 「あ、いや。僕も休日出勤で、今、事務所なんですよ。新米だから雑用が多くて。」
真璃子「そうなんですか。大変ですね。……美咲になにか?」
春輝 「ああ、いいえ。そういうわけではなくて。この前のことがちょっと、気になって。」
 
「専業主婦が知っておきたい損しない離婚の方法」というページタイトルを、春輝に見られたことを思い出す真璃子。
 
真璃子「あの、パソコンの、ページのことですか?」
春輝 「あ、はい…」
真璃子「気にしないでください。離婚なんてするつもり、ありませんから。」
春輝 「ほんとう…ですか?」
真璃子は答えない。
春輝 「この前ウチに来たときの美咲さんが、あまり元気のないように見えたので。……僕の気のせいかもしれませんね。すいませんでした。」
真璃子「ちょっと待ってください!ちょっと…お会いできませんか。」
 
(栞の自宅近くの橋)
栞は欄干で佇む。
 
完治《すみません。今度の日曜、はずせない用が出来てしまいました。山は、また今度でもいいでしょうか》
 
スマホが鳴る。画面には「瀧沢さん」の文字が。
 
栞 「もしもし…」
完治「今から会えませんか。」と唐突に話し始める。
 
(三崎口駅前)
完治「今、三崎です。山には行けませんが、海が見られます。ここの黒マグロの大トロは絶品なんです。たまには足をのばして食べに行きませんか。」
 
強引な申し出に、声が出ない栞。
 
完治「ごめんなさい…急には無理ですよね。」
 
(栞の自宅近く)
栞は、今買ってきたスーパーの袋を気にしながら、「あ、いや…いえ。あー…いえいえ!大丈夫です、行きます!」とあわてながら答える。
自宅に向かって小走りする表情は微笑んでいた。
 
(ゴルフ場)
頭取「瀧沢君帰ってこないねぇ。」
常務「腹の調子でも悪いんじゃないですか。」シレッと答える。
 
常務「放っておいて、先に行きましょう。……あ、井上君!君が代わりにアテンドしなさい。」
井上「はい…」
常務「君確か、瀧沢君と同期だったよね。」
井上「はぁ。」
常務「頭取!この井上君はデキる男なんですよー。勉強家でね、オカエ証券に出向になった時、勉強して証券アナリストの資格取って。いやいや、瀧沢なんかよりはるかに優秀なんですよ!」
 
「ねえ?」と常務に言われ、複雑そうな井上。
 
※井上も出向組だったんですね。
 
(三崎の海)
岩場を歩く、栞と完治。
 
先に行く栞が振り返り、完治に微笑みかける。完治も微笑み返す。
 
(料理店)
地魚料理「三海荘」から出てくる、栞と完治。
 
栞 「ごちそうさまでした。おいしかった。」
完治「やっぱ美味いですね。この辺の魚介は。にしても絶品だったなー、あの…」
 
「黒マグロの大トロ。」と二人の声が重なる。目が合い、笑いあう。
 
完治「あ。もう一軒どっか行きますか?」
栞 「あー、ここ、三崎ですよ。終電なくなっちゃう。」
完治「なくなったら、なくなったで。」
栞 「ダメです。終電までに帰ってもらわないと、私が困ります。」
 
(春輝の職場)
打ち合わせスペースらしき、ソファーに座る、春輝と真璃子。
 
春輝 「そうですか…。お父さんの出向が決まって…」
真璃子「そうなんです。美咲はそのことをすごく気にして、受け入れてもらえないんじゃないかって。」
春輝 「僕は、そんなこと気にしません。」
真璃子「そうおっしゃっていただけると、ありがたいです。」
春輝 「母には、僕から伝えておきます。わかってもらえると、思うんですけど。」
真璃子「ありがとうございます。」とお辞儀をする。
 
無言の二人。コーヒーをひとくち飲んで真璃子は続ける。
 
真璃子「なんだか、恥ずかしいです。家の中がゴタゴタしていて…。あ、主人が出向になったから、離婚について調べてたんじゃないですから。」
春輝 「そう…ですか。」
真璃子「ええ。ただ、興味で。」
春輝 「ええ…。」
 
また無言。春輝が真璃子を見つめる。
 
真璃子「…でもないかなぁ。やっぱり、ショックだったんです。」
春輝 「出向が、ですか?」
真璃子「今どき、よくあることでしょう?銀行員が出向になる、なんて。でもそのこと、主人は二週間近く、私に黙ってたんです。それがショックでした。なんだか、なんのために夫婦やってきたのかなぁって。主人はとにかく、わが道を行く人で。仕事のことは家に持ち込まない。それでいいって思ってたんです。だけどやっぱり、寂しかったのかなぁ。」
 
春輝は、そう話す真璃子をジッと見つめる。
真璃子は立ち上がり、「あ、ごめんなさい!変ですよね。娘のボーイフレンドに言うようなことじゃないですよね、こんなこと。」と照れたように、両手で頬を覆う。
 
春輝 「いいです。聞かせてください。そういった不満を、あまりご主人には、ぶつけたことはないんですか。」
真璃子「なかった…かなぁ。…私、事なかれ主義なんですよ。あんまり喧嘩したくないの。そのほうが楽だし、怒ったところでなんにも変らないし。所詮、専業主婦ですから。主人と別れて、一人になって、なにができるってわけでもないし。だから、まあ…なにも言えないかなぁ。」
 
春輝は立ち上がって、「違いますよ、それは。」と語気を強める。
春輝「ご主人のために、毎日のお料理や、掃除やお洗濯をして、美咲さんのことも育てて、何年もずっとがんばって来たんですから。なにも言えないとか、なにもできないなんてことは、ないです!他の人には、代わりの利かないことを、ずっとやってきたんですから。」
 
春輝に背をむけたまま真璃子は口元をおさえる。
春輝は気づき、「大丈夫ですか?」と声をかける。
 
真璃子は涙声で「ごめんなさい…、代わりが利かないなんて、そんなこと今まで、誰からも言われたことなかったから……」
 
ハンカチを取り出そうと、バッグをさぐる真璃子。
自分のハンカチで春輝は、真璃子の頬を押さえ、真剣な顔で真璃子を見つめる。
キョトン顔で見つめ返す真璃子。
 
(栞の自宅近くの橋)
栞 「じゃあここで。家、あそこなんで。今日はほんとに、ありがとうございました。じゃぁ…明日。」
完治「また明日!」
 
後姿をしばらくみつめる完治。栞が見えなくなると、川に向かって、空を見上げる。
 
しばらく歩いたところで振り返り、橋の上の完治を眺める。
 
たまらず、かけ戻り、完治に抱きつく栞。
 
栞「あ。」と完治から離れ、「ごめんなさい。笑。今日、とてもうれしかったです。楽しいことっていつも続かないから、またダメかなって諦めてたんです。……でもそうじゃなかった。」と完治を見つめる。
 
完治の肩に両手を置き、栞からキス。
 
栞は照れたようにうつむいて、完治から離れると目も合わせず、かけ去る。
 
しばらく身じろぎせず立っていた完治。夜空を見上げると流れ星が。(完)
 
 

第3話:まとめと、言いたい放題ドラマ評

(まとめ)
  • 中山は本仮屋にバカにされたこともそうだが、蔵之介に出向を内緒にされたことがとにかく許せない。
  • 黒木から職場では関わらない方がいいが、外では会えると言われ、ニヤニヤの蔵之介。
  • 石川は、流星の母・麻生祐未には気に入ってもらえないし、蔵之介の出向のことも告げられず落ち込む。
  • マナーとして、挨拶に手土産を持参した場合は、紙袋から出して差し出すこと。
  • 同僚から頭取や常務に取り入るチャンスをもらう蔵之介。出向のショックで元気がない石川のために、黒木との約束を蹴って参加する。
  • 頭取のゴルフはヘタクソだし、常務の陰湿な嫌がらせがイヤになり、バックレて、黒木を三崎港まで呼び出す蔵之介。最後は黒木からキス。
  • 中山も家庭の不満を流星に聞いてもらい、やさしいことを言われ泣いたりして、距離感が縮まる。
 
(言いたい放題ドラマ評)
冒頭の「秘書の篠田にこの人かわいそうって見られた、優越感?なんであんな顔されなきゃいけないんだろう」という中山の長セリフはすばらしかったですね。篠田の思惑を感じつつ平静を装い帰宅して、悔しい気持ちが爆発したって感じが現れていて。
 
都内から三崎口駅まで急行を使っても、たぶん1時間半はかかるみたいなんですけど、呼び出す蔵之介も蔵之介なら、喜ぶ黒木も黒木。
蔵之介は自宅では反省した風に神妙な顔しているけど、会社や外では一切、娘も妻も思い出さないイカレポンチ。
 
かと言って、中山は大学卒業して早々に結婚した、生粋の専業主婦。八木亜希子が言うように、専業主婦でも離婚はできるけど……できるんですか?仕事でもするんでしょうか、中山。ただ「代わりが利かないなんて言われたことなんてなかった」と涙する中山の気持ちは、主婦・母なら多かれ少なかれ、共感できるのではないでしょうか。
 
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関係ないけど、このブログのカテゴリの階層がいつのまにか表示されなくなっていて、今、改善できずに困っています。どうしよう。※追記:なんか直りました?
 

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