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【黄昏流星群】第6話:まるっと文字起こし

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黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜 【第6話】

黄昏流星群

黄昏流星群 - フジテレビ

(栞の自宅)
目黒栞(黒木瞳)の家。瀧沢完治(佐々木蔵之介)はスマホから自宅へ電話している。
完治 「ごめん、精進落としで久しぶりに同期と飲んで話し込んでたら、抜けられるタイミング逃した。今日、井上のところ行ってくるから。」
 
瀧沢真璃子(中山美穂)「そう、井上さんのところね。ご迷惑じゃないの?」
完治 「お互い、情報交換とか大事だから。」
真璃子「そう。」
完治 「じゃ。」と電話を切る。
 
完治は壁の鏡にうつる自分を見る。
 
居間では、コートや上着、栞のストッキングなど脱ぎ散らかされていて、栞がほどけて乱れた髪のまま、片付けている。
 
鏡にうつる自分の顔を見る栞。
 
(瀧沢家・洗面台)
真璃子、鏡にうつる自分を見る。
 
(栞の自宅)
翌朝。完治が目覚めると、布団のとなりに栞はおらず、台所で朝ごはんを作っている。
 
後ろ姿をみつめる完治。
 
栞 「あ、おはようございます…朝ごはん作ったので、よかったら…」
完治は愛おしそうに栞を見る。
 
完治「いただきます。」
栞 「いただきます。」
完治「おいしい。」
栞 「そうですか。」
完治「このお漬物、ご自身で?」
栞 「あ、はい。母が好きだったので。」
完治「ん、ほんと、おいしい。」
栞 「ん、よかった。……なんか不思議ですね。お葬式の次の朝だっていうのに、こうして瀧沢さんと朝ごはん食べてるなんて……一生忘れません。」
 
むせこむ完治。
(栞の自宅・玄関)
栞 「あ、どうぞ。」と靴べらを渡す。
完治「ありがとうございます。」
 
靴を履き、振り返る完治。
 
完治「……じゃ。」
栞 「また、会社で。」
 
(外)
帰路、朝日に輝く川を見て。
 
完治《きれいだ。全部が輝いて見える。こんなこと俺の人生には、もうないと思っていた。》
 
完治はおもむろに走りだす。
 
完治《でも……》
 
(瀧沢家)
帰宅する完治。
 
真璃子は洗い物をしながら、「おかえり。」と声をかける。
 
完治 「ただいま。」
真璃子「50にもなって、徹夜で飲みなんて、歳考えたら?」
完治 「いやぁ、もう20年以上も会ってないやつばっかでさ。話し盛り上がっちゃって。みんないろいろ大変みたいだ。」
真璃子「早くしないと会社に遅れちゃうわよ。朝ごはん、そこに置いてあるから。」
 
(栞の自宅)
洗濯カゴを手にベランダへ。
 空を見上げ、一歩踏み出すと……。 ※めまい?突発性難聴?
 
(瀧沢家・キッチン)
パン作りをする真璃子に、水原聡美(八木亜希子)「浮気確定か!」と言う。
真璃子「そうなのよねー。」意外と冷静でそっけない。
 
完治のスマホに、目黒栞の名前。
真璃子『主人に用でしょうか。』
栞  『すみません、間違えました。』
 
真璃子「どうしてわかるんだろう。この人、夫となにかある、って。はっきりとわかった。」
聡美 「若い女?」
真璃子「ん、どうかなー。わからないけど。」
聡美 「会社の女かな―。どのくらの頻度で会ってる感じ?」
真璃子「わかんないけど。昨日もね、外泊してるの。飲んでたら帰るタイミング逃したって、ヘタな嘘ついて!」
聡美 「なにそれー、ずぶずぶハマってってんじゃない!」
真璃子「でもねー。もう、問い正す気にもなれないもんね。」
聡美 「そうなの?」
真璃子「思うんだけどさ。問い詰めるって、相手にまだ期待してるってことでしょう。嘘でも言いわけでもして、疑いを打ち消してほしいって。でもここまでハッキリしちゃうと、もうね。…あぁー、もうダメね。打つ手なしって感じ。」
聡美 「真璃子ぉー。」と真璃子の腕をゆさぶる。
 
(瀧沢家)
ダイニングテーブルで晩ごはんを食べる完治。
 
「お父さん!……お父さん?…ねえ、お父さん、聞いてる?」
娘・美咲(石川恋)がリビングから声をかけている。
 
完治はやっと気づき「ん?ごめん、なんだっけ?」
 
真璃子「両家の顔合わせ、そろそろやりたいんですって。」
完治 「顔合わせ?ああ、そうか。」
真璃子「美咲はもう何度かお邪魔してお世話になってるし、この前の旅行のお礼もかねて、一度揃って、ご挨拶に伺ったほうがいいと思うの。」
完治 「そっか、そうだな。」
美咲 「言っとくけど、春輝のお母さん、かなりプライド高くて、手ごわいタイプだから。テンパって変なこと言いださないでよ、お父さん。」
完治 「変なことってなんだ?」
美咲 「…さあ。知らないけど。」
 
ホテルのエレベーターでの美咲。
 
美咲『不倫だから下劣とか決めつけないで。自分だってしてるくせに!』
 
美咲の後ろ姿を見ながら考える完治。
(瀧沢家・キッチン)
洗い物をしていると、真璃子のスマホが鳴る。手を吹きながら、スマホを確認する。
 
日野春輝(藤井流星)からだった。旅行のホテルの食事の時に、二人で撮った写真が送られてきた。
 
春輝からキスされたことをまた思い出す。
 
美咲から「なに見てるのー、お母さん。」と話しかけ、驚く真璃子。
 
どうしようもできず、真璃子は、美咲に写真を見せる。
 
美咲 「ああー!この前の旅行の写真?いつの間に撮ってたの?」くったくなく聞く。
真璃子「美咲とお父さんが席外してる時にね、仲居さんが撮ってくれちゃったの。」
美咲 「へー。……ねえ、お父さんてさー、ゆうべ外泊した?」
真璃子「ん…そうよ。なんかね、お葬式の帰りに同期の人たちと会って、飲んでるうちに帰るタイミングを逃しちゃったんだって。」
美咲 「……ふーん。」と微妙な顔。
真璃子「なーに?」
美咲は首をふって、「ん、別に。」
 
(日野家)
美咲「ここ。」
 
完治と真璃子は門構えを見て、あぜんとしている。
 
真璃子「本当に立派なお家ね。」
完治 「昭和の豪邸って感じだな。」
 
二人に構わず、チャイムを鳴らす美咲。
日野冴(麻生祐未)が「はい」と応答する。
 
美咲「瀧沢です。ご挨拶に伺いました。」
冴 「どうぞ、お入りになって。」
 
門扉が自動で開く。
 
スーツ姿の春輝が玄関を開き、「いらっしゃいませ」と出迎える。
奥から、冴が着物で登場。
 
完治が「本日はどうも」と頭を下げると、真璃子も倣う。
 
冴は三つ指をつき頭を下げ、「よくいらっしゃいました。どうぞ、お上がりになってください。」とまたお辞儀をする。
 
春輝「ここでは、なんですので、お上がりください。」と完治らを促す。
 
冴と完治を冷静に見ている美咲。
(日野家・廊下)
壁に額縁に入った刺繍の作品を見て
真璃子「まあ、素敵な刺繍。もしかしてお母様が?」
冴は笑いながら、「今どきの人は、ご亭主を置いてあちこち好きなところにお出かけになるんでしょうけど、私はねぇ。家で夫を待っている他、やることがなかったものですから。素人の手慰みですよ。…じゃ、どうぞ。」
(日野家・食卓)
美咲・完治・真璃子の順で座り、美咲の前に春輝が座る。
冴は、紅茶・ケーキを振る舞いながら話す。
 
冴  「美咲さん、とってもいいお嬢さんじゃないですか。私、喜んでますのよ。」
真璃子「いえいえ、もう。」
完治 「至らないところばかりの娘でして。」
真璃子「春輝さんこそ、とても素敵な方で、私たち本当にうれしいんです。」
 
真璃子を見つめる春輝。それに気づきハッとするが、節目がちに目を逸らす真璃子。
 
冴「よかったわぁ。お互いに気が合って。」と言いながら、真璃子の前の席につき、「私ねぇ、最近体調が優れないせいか、気が焦ってしまうんですの。早く、孫の顔が見たいなって…」
 
反応できない瀧沢家の3人。春輝が「お母さん、いくらなんでも気が早いよ。」とフォローするが、冴は続ける。
 
冴  「でも、お互いに気持ちはかたまっているんだし、決めることは決めてしまったら?年内にはお結納、年が明けたらお式というスケジュールではどうでしょう。」
美咲 「そんなに早くですか。私、年内は仕事が詰まっていて…」
冴  「あら、そうなの。…じゃ、美咲さんが忙しい分は、お母様にフォローしていただいたら?」
真璃子「あ、はい…。」
冴  「お母様に事務的なことは一切お任せして、美咲さんはお仕事に専念なさったらいいわ。今のうちなんだから。」
美咲 「今のうち?」
冴  「結婚したら、お仕事辞めるんでしょう?…そういえば、どうなさるおつもりか、聞いてなかったわねぇ。」
美咲 「仕事は…できたら続けたいと思っています。」
春輝 「そうだね。美咲はそう言ってたよね、いつも。」
冴  「そう……まあ、じきに赤ちゃんが生まれたら、お気持ちも変わるでしょうよ?自分の子どもって、それはそれは、かわいいものだから。」
 
完治は、冴と春輝の顔を見比べる。真璃子も美咲もことばが出ない。
 
完治が空気を変えるように、ケーキをひとくち食べ「おお、このケーキおいしいですね。」と大げさに言う。冴「口に合いましたか?」と多少、なごむ。
 
(外)
帰路。
真璃子「あのお母さん、なかなか手ごわそうな人ねぇ。」
完治 「高級官僚の奥さんでチヤホヤされてきたんだろう。まあ、プライドも高そうだなー」
 
真璃子は「履きなれない靴はいたら、靴擦れしちゃったみたい。」と立ち止まり、バッグの中をさぐる。
完治は「ちょっと」と美咲を指さし、美咲を追いかける。
 
完治「美咲。いいのか。」
美咲「なにが。」
完治「後悔しないか。」
美咲「今さらなにを言ってんの。」
完治「別れんだよな、あいつとは。」
美咲「先生のことあいつって言わないで。心配しないで、ちゃんとするから。」
 
立ち止まり美咲の後ろ姿を見る完治。
 
(日野家・寝室)
冴が床につく。春輝は「大丈夫?」と布団をかけてあげる。
 
春輝「結納の日取り、もう少し後にずらしてもらう?」
冴 「せっかく先方に無理を言って、急いでもらったのよ。そんなことできません。でも……夢のようだわぁ」
 
冴は春輝の手をなでながら、「去年、ガンが見つかった時は、春輝の結婚式なんてもう、見られないかと思ってたけど。」
 
春輝「気が早いよ。」
 
春輝のスマホが鳴る。春輝はそっと母の手を置き、スマホを見る。
表情が変わる春輝。
 
(荻野倉庫・事務所)
完治が出社すると、川本保(中川家礼二)が興奮して電話している。
 
川本「だから!部長に繋げてもらえますか?昨日から何回もかけてるんですけどね!いや、あ、係長じゃなくて、部長!いや、あ!」
 
相手に電話を切られたようで、受話器を叩き付ける。部下の木内祐輔(笠松将)に当り散らしながら、事務所から出て行ってしまう。
 
完治は自席につきながら、聞く。
奥山敦子(三浦真椰)「ピンチなんですよ、今。メインのスズモト産業さんから契約打ち切りの通告が来て。」
完治「大変じゃないですか。」
奥山「近くに新しい設備の入った倉庫ができて、鞍替えされたんです。ウチもギリギリでがんばってたんですけど…」
 
戻ってきた、川本「ああ、銀行さん。若葉銀行にプラスの融資、お願いできませんか。ウチもそろそろ倉庫新しくしてね、新規のお客さん呼び込まんことには、やっていけないのですよ。こういう時のために、あんたがおるんでしょ?交渉、してきてください。」
木内「お願いします、瀧沢さん!瀧沢さんが頼みの綱なんすよ。」
奥山「そうですよ、お願いします。」
木内「お願いします!」
 
完治は「はい」と恐る恐る、席に着く。
 
「よかったー銀行さんいてくれて!」などと遠くから聞こえる。
 
(外)
春輝は歩きながら、思い出す。
 
医師「実は、冴さんの検査結果のことでね。」
春輝「再発したかもしれないってことですか。」
医師「可能性が高いね。一度、精密な検査が必要だけど、厳しい状況を覚悟しておいたほうがいい。以前手術を受けた病院に、紹介状を書くよ。」
※先ほどの電話は医師からだったということでしょうか。
 
(若葉銀行・本店)
ビルを見上げる完治。
 
ロビーで同期の井上秀樹(平山祐介)を見かけ、「よっ!」と声をかける。
井上は振り返るが、表情を変え、行ってしまう。
 
「あれ、瀧沢か?」呼び止めたのは同期・横尾博(ますだおかだ増田)だ。
 
完治「お、今日はどうした。」
横尾「俺は今日は財政審査の報告や。おまえは?」
完治「融資の依頼できた。荻野倉庫の。支店審査は温情で通してもらったから、今日が正念場だ。」
横尾「そっかー、おまえもいろいろ大変やねんな。おまえは上に行く男や思うてたけどな。
完治「おんなじこと井上に言われたよ。あ、そういえば今、井上とすれ違ったんだけどさ。」
横尾「え、知らんかったんか。あいつ、本店の融資部長に異動になったんや。」
完治「すごっ!栄転じゃないか。」
横尾「おまえが出向した後や。急に金田常務に接近しはじめて、うまーいことやったらしいわ。うん。元々出世コースでもなんでもなかったのに、世の中わからんな。」
(若葉銀行・本店融資部)
窓口で待つ完治を、不躾に見る若い行員たち。
 
担当の行員が完治の前に座りながら「いろいろ聞いてますよ。5億なんてそんな融資は無理ですよ。なんで支店はこんな案件通したのか。」と資料を見る。
 
完治「よろしくお願いします。」
行員「どんな事情かはわかりませんが、返済計画はどうなっているんですか。」
 
完治は、奥に座っている井上が気にかかる。
 
行員「これでは5億はもちろん、融資すること自体、難しいですね。」
(若葉銀行・トイレ)
完治が手を洗っていると、井上が入ってくる。
井上は、完治に気づいた途端、出て行ってしまう。
 
あわてて追いかける完治。
(若葉銀行・廊下)
完治「おい、井上!」しぶしぶ振り向く井上。
 
完治「逃げることないだろう。」
井上「逃げてはいないよ。」
完治「本店戻れてよかったじゃないか。そんなことでどうこう思わないよ。お前の今まで努力が報われた、それだけのことだ。」
 
並んで、休憩スペースに入り、続ける。
 
完治「で、さっきの融資のことなんだけど。」
井上「そのことか…」
完治「どうにかならないかな。」
井上「…おまえが俺の立場なら、どうする?融資を決めるか?」
完治「決めない、だろうな。」
井上「融資をするには、それなりの材料が必要だよな。倉庫を新しくすれば、客が見込めるなんて短絡的すぎる。それに、今の俺は微妙なポジションなんだ。少しでも経歴にキズがつくようなリスクは背負えない。わかってくれるか。」
 
完治はそれ以上、なにも言えない。
(荻野倉庫・事務所)
完治「ただいま、戻りました。」
 
奥山「どうでした?」 川本と木内も気になって完治を見ている。
完治「断られました。すみませんでした。」と頭を下げる。
川本が立ち上がり、「なんのためにあんたを雇うてるんや。こういう時のためやろ。いま役に立たんかったら、いつ役に立つんや!」 木内がなだめるが利かない。
 
完治はもう一度、「すみませんでした。」と頭を下げる。
 
(居酒屋)
栞 「大変ですね、それは。」
完治「いやぁいいんですよ。いかに自分が世間知らずかって思い知らされましたよ。世間知らずっていうか、独善的っていうか。自分が弱い立場になって初めて、ああ融資を断られるって、こんな気持ちになるのかって。考えてみていたけど、でも全然…いやぁ勉強です。なにもかも。」
栞 「環境が変われば、誰だってそうですよ。」
完治「ごめんなさい。栞さんが大変な時に逆に気を遣わせて。」
栞 「ううん。私、いろいろ知りたいです。瀧沢さんのこと。同じ景色を見て、一緒に同じことを思ったり。」
完治はうれしそうに微笑む。
 
完治「あの…、こんなこと言ったらおせっかいかもしれませんが、お葬式とかなんかで、いろいろ物入りだったんじゃないですか。…お困りのことがあれば、なんでも。」
栞 「いや、あ、ありがとうございます。大丈夫です。あの、少しですけど、貯金もありますし。」
完治「そうですか。」
栞 「私、小さいお店開くの、夢なんです。母が糖尿だったから私、健康食についていろいろ勉強したんですよ。おいしいだけじゃなくて、体にもよくて、食べて元気が出るようなお料理!そういうの出して、喜んでもらえたらなぁって。遠い夢ですけど。」
 
店主・徳田和夫(小野武彦)「どうりで。あんた、舌が肥えてんもんな。」
栞 「ああ!そうだ!大将に指南してもらおうか、お料理。」
徳田「俺は厳しいよ。」
栞 「大丈夫です。打たれ強いから。」
徳田「はい、サービス」
完治「おっ!いただきます。」
 
(瀧沢家)
真璃子「明後日から金沢に出張?ずいぶん急な話しね。」
美咲 「行く予定だった人が急に、インフル行けなくなって。代わりに私が行けって言われたの。」
 
キッチンで二人が話すのを、風呂上りの完治は物影で聞いている。
 
真璃子「明後日ってあなた、春輝さんと式場周りする予定だったじゃない。」
美咲 「あ…、お母さん行って来て。」
真璃子「私が?」
美咲 「私、別に式場とかどうでもいいし…お母さんの大人の感覚で選んでくれたほうが、春輝のお母さんも納得するだろうし。…よろしく」と言い捨て、キッチンを出る。
 
階段前にいた完治は、美咲の腕をつかみ、小声で「本当に出張なのか。」と聞く。美咲は「なに言ってんの」と手を払い、二階へ上がる。
 
(荻野倉庫・事務所)
自席のパソコンで、「城北女子大学 戸浪教授」で検索する完治。
 
(城北女子大学)
「城北女子大学 文学部」の看板の前でたたずむ完治。
 さようなら、ねぇ今日ごはん行かない?等と言いながら、女子学生が数人出た後に、戸浪恭介(高田純次)が出てくる。
 
完治「失礼します。戸浪先生でいらっしゃいますか。」
戸浪「はい。」
完治「私、瀧沢完治と申します。瀧沢美咲の父です。」
戸浪は声もなく驚き、「あ…、あ。」と二度うなづく。
完治「少し、お時間よろしいでしょうか。」
戸浪「わかりました。」
完治「近くの喫茶店でも…」
戸浪「ウチに来ませんか?この近くなんですよ。今、ちょうど帰ろうとしていたところなので。」
(戸浪の自宅)
鍵を開け、「どうぞ散らかってますが」と招き入れる戸浪。
完治は「失礼します。」と部屋に入る。
 
戸浪は「どうぞどうぞ、どっか、適当なとこにでも座ってください」と気さくに言うが、昆虫の標本や資料などで雑然とした室内。「…と言ってもあれか。ごめんなさいねぇ、座るとこなくて。」とソファの上の資料をよけようとすると、なだれが起きる。
 
「いいんですよ、先生。私このままで…」となだれた荷物を拾おうとし、蝶の標本を手に取る完治。
 
戸浪「ああ、それは、アマゾンのキプディスモルフォという蝶なんです。」
完治「見事ですね。これ、先生がご自分で?」
戸浪「ええ。虫取り網を抱えてね、森の中に5時間いました。夢のような時間でした。…あ、私の専門は、南米の少数民族の研究なんですが彼らと話すために、森に入ることを繰り返すうちに、そこで出会う蝶や虫に憑りつかれましてね。……あ、マテ茶、飲みますか?」
完治「マテ茶ですか?」
戸浪「ええ、南米の人はみんな飲んでいます。大変、健康にいいものなんですよ。」
 
すっかり戸浪のペースで、面食らう完治。
 
完治「ここではおひとりでお住まいですか。」
戸浪「私はね、女房にはとっくに、見放されています。面倒だから、籍を抜かないだけでね。」
 
マテ茶を差し出され、完治はひとくち飲む。
 
完治「ありがとうございます。」
戸浪「まずくはないでしょ、おいしくもないかもしれないけど…」
 
完治「今日は先生に、お願いに上がりました。娘は若くて、無知で、無分別です。私の言うことなど聞こうとしません。ですから先生のほうで、大人の分別を働かせていただきたい。娘には婚約者もいます。これ以上、あの子の気持ちを弄ぶようなことはやめていただきたい。」
 
戸浪「私は彼女を弄んでるつもりはありません。彼女の未来を壊そうとか、どうにかしようなんて、これっぽっちも思ってない。ただ、彼女と時を過ごしてるだけです。彼女の人生には、燦々と朝日が降り注いでます。私は今にも暮れそうな夕日の中を歩いてる。人間として、まるで、別の軌道を辿ってます。二人の軌道がたまたま重なった。何万分の一の確率で、夜空の星と星とがすれ違うみたいにね。」
 
完治は思い浮かべる。
 
スイスのゴンドラで、栞と出会った日。
 
荻野倉庫の食堂で、栞と再会した日。
 
「一瞬ですよ、ほんとに一瞬。私にはかけがえのない時間だった。人生には、こんなこともあるんですね。」と微笑みかける戸浪。
 
(外)
帰路、橋の上から夜空を見上げる完治。
 
(瀧沢家・洗面台)
ポーチにモノを詰め、出張に行く準備をする美咲。咳き込んでいる。
 
真璃子「大丈夫?体調悪いんじゃないの。」
美咲 「大丈夫。代わりもいないんだし、私が行かなきゃしょうがないよ。」
(瀧沢家・リビング)
真璃子はアイロンがけをしながら、「あ、風邪薬」とつぶやく。
(瀧沢家・美咲の部屋)
寝ている美咲を起こさないよう、静かに部屋に入る真璃子。
風邪薬を入れようと、美咲のポーチを開けると、コンドームが入っている。
寝ている美咲を見つめ、思い出す。
 
春輝『美咲ちゃん、他に好きな人がいるんじゃないかな。』
(瀧沢家・玄関)
ボーっとする真璃子。美咲「お母さん、かばん。」「あ、はい、いってらっしゃい。」「いってきます」
 
完治 「ずいぶん早く出かけたんだな。」
真璃子「そうねぇ。出張じゃないみたいだけど。…ゆうべ、あの子の荷物を見たの。避妊具が入ってた…出張には必要ないでしょう。」
 
完治 「知ってんのか?」
真璃子「え?」
完治 「美咲が誰に会いに行ったか。知ってるのか」
真璃子「あなた、知ってるの?」
完治 「知らないよ。え、でも、気付いたら止めるだろう。なんで平気で送り出してんだよ。」
真璃子「美咲ももう大人よ。なにも言えないわよ。」
完治 「いやいや、そうかなー?」
真璃子「結婚と恋愛は別って、あの子言ってた。あの子にはあの子の、けじめのつけ方があるのよ、きっと。それを信じるしかないじゃない。」
 
(日野家・寝室)
眠る母を見守る春輝。しばらくして部屋から出て行く。
 
(荻野倉庫・事務所)
戸浪『私は彼女を弄んでるつもりはありません。ただ、彼女と時を過ごしてるだけです。』
 
完治が戸浪のことばを思い返していると、スマホが鳴る。井上からだった。
 
完治「この前はどうも。」
井上「荻野倉庫のこと、本部長にかけあってみた。」
完治「そうか!ありがとう!」
井上「ただし三千万が俺の権限で出せる限界だ。わかってると思うが、売り上げの計画、顧客層を練り直せ。三千万で倉庫立て直すなんて、無理だろ?」
完治「なんとかする、ありがとう。」
 
(荻野倉庫・倉庫)
現場に出ていた川本を見つけ、話しかける。
 
完治「川本さん、ちょっとお話しいいですか。」
川本「なんですか。今忙しいんですけど。」
完治「銀行から連絡がありました。三千万なら融資できると。」
川本「三千万!話になりまへんな。棚の設置も満足にできませんやん。」
完治「そうでしょうか、いやなんかやれることはあるはずです。例えば、大口の取引がダメなら、小口の取引を増やすとか。つまり企業ではなく、個人を相手にするということです。一個一個のもうけは小さくても、地道に顧客を集めれば…」
川本「簡単に言うけどね、あんた。え?個人からなんか、預かる荷物もバラバラやし、万が一壊しでもしたら、補償が面倒や。だから今までウチ預かってけぇへんかったんや。手間かかりすぎや。」
完治「そこを新たに効率的な方法を…」
川本「だから!それが手間やってゆーてんねん。なにをするにもお金がかかる。その融資を銀行から引き出してくれゆうたのに、それできへんかったんはあんたやないか。」
完治「融資を引き出すには理由が要ります。なんの努力もしないでお金が必要だと言っても、銀行は聞いてくれません。自助努力をしないと。」
川本「なんや、あんた!エラそうに!素人がクチ挟むな!」
完治「落ち着いて聞いてください。」
川本「うっさいわ!!」
 
払いのけた川本の腕に当たり、完治は台車を巻き込み、後ろ向きに落ちてしまう。
 
(結婚式場・チャペル)
チャペルのドアが開かれ、係員「どうぞ、こちらでございます。」
春輝と真璃子が並んで歩き、「素敵ね」「いいですね」と言いあう。
係員の電話が鳴り、席を外し、チャペルのドアが閉じられる。
 
祭壇に向かって、歩きながら、
 
真璃子「この通路を、美咲が歩くのね。」
春輝 「お父さまと、腕を組んでね。」
 
と言い春輝は、真璃子の腕を自分の腕に組ませて、微笑む。
 
真璃子もつられて、そのまま歩こうとしたところで、係員が戻ってくる。
あわてて腕をほどく真璃子。
 
係員 「来年3月までのキャンペーンで、ウェディングドレスを無料でお貸し出しさせていただいております。ご覧になりますか。」
真璃子「それは、本人が見てみないとね。」
春輝 「でも、写真だけ撮っておけばいいんじゃないですか。見てみましょ」
係員 「ぜひ、どうぞ!」
 
(荻野倉庫)
栞が出勤してくる。
「救急車来てるよ」などと倉庫前がざわついていて、栞も小走りになる。
同僚の小俣房江(山口美也子)を見つけ、声をかける。
 
栞 「なにがあったんですか。」
房江「瀧沢さん、カゴ台車の下敷きになったんだって。」
 
救急車のサイレンの音。
 
(結婚式場・ドレスサロン)
春輝 「きれいですね。」
真璃子「ほんと。こういうの私も着てみたかったな、一度。」
春輝 「結婚式でドレス着なかったんですか。」
真璃子「着たかったんだけど、母が自分が結婚式に着た白無垢をどうしても私に着てほしいっていうから、神前式にしたの。」
 
係員 「ちょっと、奥を確認してまいりますので、ここで少々お待ちください。」
 
真璃子「6月の暑い盛りでね、着物は重いし、お化粧は全部取れちゃうしで、もうほんと大変だった。こんなんだったら、二度と結婚式はしないって言ったら、なに言ってんの、二度目があったら大変でしょって。それもそうよね。」と笑う。
 
春輝 「でも、残念ですね。真璃子さんのウェディングドレス姿、きっときれいだったでしょうね。」
真璃子「えー?」
春輝 「真璃子さんなら、今でも似合いますよ、きっと。」
真璃子「なに言ってるの、変なこと言わないでよ。」
春輝 「でも、ほら、こういうきれいなドレスとか、絶対似合いますよ。」
 
ほら!と春輝はドレスを一着取り出し、鏡の前で、真璃子にあてる。
 
真璃子「とんでもない。」恐縮して一歩下がり、肩をすくめる。
春輝 「あ、すみません。ふざけたわけじゃないんですけど。」とドレスを戻す。
 
係員 「お待たせいたしました。奥もどうぞ。」
 
真璃子「ごめんなさいね。美咲が今日、来られなくて。」
春輝 「仕事が忙しいみたいですね。体にだけは気を付けて欲しいんですけど。」
真璃子「春輝さんには、申し訳なく思っています。結婚式の準備を、母親に任せるなんて、あの子もあの子よね。あの子が、なにを考えているかよくわからなくて、なんでも話し合える友だち親子だと思ってたけど、そう思ってたのは私だけみたい。」
春輝 「真璃子さん。」
真璃子「そういうふうに、名前で呼ぶのやめてもらえる?」
春輝 「どうして、真璃子さんは真璃子さんでしょ。」
真璃子「お母さん、って、言ってください。」
 
春輝 「美咲ちゃんのことなら、僕は知っています。他に好きな人がいるって、彼女に打ち明けられました。でもその人とは一緒になれない。だから僕と結婚するんだって。」
真璃子「そんなことを…美咲が言ったの?それでいいの?あなたは。」
 
春輝「僕も似たようなものですから。去年、母が膵臓がんだとわかって、一応手術もしたんですけど、体調が思わしくなくて……母を安心させるために、早く結婚しなきゃって思ったんです。そのことは美咲ちゃんに話して、お互い、納得しています。……僕にも、他に好きな人がいます。」
真璃子「そうなの?」
 
春輝 「あなたですよ。僕が好きなのは、真璃子さんです。」
真璃子「そんなの……いやいやいや、おかしいでしょ、そんなの。私のこといくつだと思ってるの。」
春輝 「人を好きになるって歳って関係ありますか。世間から見れば、おかしなことだってわかっています。美咲のことだってなにも考えていません。ただ、ただ僕は、あなたが辛いときに受け皿になれればって思ってます。」
 
真璃子のスマホが鳴る。真璃子「はい。」
 
事務所から、完治の部下である木内が電話している。
「あ、瀧沢さんの奥さんですか?荻野倉庫の木内です。すみません今、瀧沢さんが…」
 
真璃子があわてて「救急病院!?」
 
(病院)
看護師「こちらです。」 ※部屋は「南3307」だいぶ大きい病院だね。
 
ドアを開けて、心配した顔で真璃子が覗くと、ベッドの完治は「よっ!」と陽気に出迎える。
 
それでも心配そうに真璃子が近づく
 
完治 「大丈夫!ぜんぜん大丈夫!足の骨がちょっとヒビが入ったらしいんだけど、あとはもう、かすり傷だから。頭もちょっと打って、まあ、念のために検査受けるけど、もう全然心配いらない。わるかった。」
 
真璃子を安心させようと明るく話す完治。
 
完治 「ね、春輝君も、わざわざ来てもらって、ごめんね。」
真璃子「もぉーびっくりさせないでよ。救急車で運ばれたっていうから、もう、どうしたかと思っちゃったじゃない。」
 
真璃子が完治を軽く叩くと、痛がる完治。繰り返す真璃子。
二人の和気あいあいな様子に、目をそらす春輝。
(病院・時間外受付)
栞 「あ、すいません!あの、荻野倉庫のものなんですけど、あの、今朝、救急車で運ばれた、瀧沢完治さんの…」
受付「瀧沢さんですね…今、治療中だと思うんですが……ご家族の方ですか?」
栞 「……い、いえ。会社の者ですけど、ご容体は?」
受付「ご家族以外の方には、そういったこと、お伝えできないんですよ。」
栞は、軽くショックを受けたような顔で、会釈をし去ろうとしたところで、受付にもう一人やってくる。
 
「今朝、救急車で運ばれた、瀧沢完治の娘です。父の病室は?」と美咲だった。
 
栞は、うつむくが、立ち去らない。
 
美咲は振り返り、栞を見て、栞も美咲を見る。
美咲はホテルのエスカレーター内での、完治の連れの女性を思い出す。
 
栞は目を逸らすが、それでも立ち去らない。
(病院・完治の病室)
ベッドに腰掛ける完治。静かに美咲が入ってくる。振り向いた完治の顔を見て、「なんだ、大したことなかったのね。」「来てくれたのか。」と。美咲はコートを脱ぎ、窓側のソファに腰掛ける。
 
完治「どこ行ってたんだ。先生といたのか。」
美咲「そうよ。先生が学会で金沢に行くのに一緒について行ったの。楽しかった。ほんのちょっとの時間だったけど。…兼六園を一緒に歩いたの。紅葉がものすごくきれいだった。帰ってきたくなかった。先生には帰りなさいって言われたけど。」
 
完治は美咲の前の席に着き、諭すように言う。
 
完治「美咲、先生とはもう別れなさい。もういいだろう。そろそろけじめをつけなさい。」
美咲「わかった。先生とは別れる。でも、そのかわり約束して。お父さんもあの人と別れて。」
美咲は真剣だ。
(外)
栞がマフラーを口元にあてながら、険しい顔で、夕日の並木道を歩く。(完)
 

第6話:まとめと、言いたい放題ドラマ評

(まとめ)
  • 蔵之介と黒木は、やった。蔵之介は嘘だとわかりやすい嘘しかつけない男。
  • 中山もそれがわかっているのに「もうダメ、打つ手なし」と諦めが早い。
  • 春輝の母・麻生祐未は、膵臓ガンだった。思った以上に高慢ちきで、いつ仕事辞めるのか聞いたりする。
  • 高田純次は憎めない感じの教授で、意外と石川と真面目につきあっている。
  • 石川は高田の学会に同行するのに、コンドームを持参する。
  • 流星は中山にコクるが、いまいち進展なし。
 (言いたい放題ドラマ評)
石川は、蔵之介とは秘密を共有しているせいか、素直になりつつある。教授との恋は、誰にも話せないものだろうから、この第6話時点では、逆に知ってくれている父の存在は、ありがたいものかもしれませんね。
 
流星の告白シーンは、私は好きです。意外とよかったと思います。
相手がさ、ほら設定として、ちょっと不自然な相手役なので、残念なのは否めないんですけど、ジャニーズはアレですね、こういう切ない系の年下男子やらせるといいよね。……いや、でも中島健人くんとかはやっぱりキラキラ男子系がいいと思うから、やはりキャラにもマッチしていたのかもしれません。
※イメージです。イメージで好き勝手言うコーナーです。
 
今回の藤井流星くんの結婚式場のシーンは全般、なんかね、間の取り方とか、笑顔と真顔のバランスとか、とてもよかった。演出がいいのか、演技がいいのかわかりませんが、かっこよかった。うん。
 

次回

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