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【黄昏流星群】第7話:まるっと文字起こし

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黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜 【第7話】

黄昏流星群

黄昏流星群 - フジテレビ

(病院・完治の病室)
完治「おおお、二人で見舞いに来てくれると思わなかった!たまには怪我もするもんだな!」
 
瀧沢完治(佐々木蔵之介)は、ケーキ箱の中を見ながら、瀧沢真璃子(中山美穂)に言った。
病室には、水原聡美(八木亜希子)と須藤武史(岡田浩暉)が見舞いに来ている。
 
真璃子「バチあたりなこと言わないの。ああ、忙しいのに、ありがとうね。須藤さんも、ありがとう。」
聡美 「須藤さんが行こうって。ほんとは二人で映画に行こうって言ってたんだけど!ねー」
須藤 「いや、でもよかったよ。案外元気で。」
完治 「いや、昔から体だけは丈夫だったからな。」
須藤 「そうじゃなくて、青山店の開店祝いに来てくれただろう。あの後おまえが、銀行出向になったって聞いて、だったら俺、悪いこと言ったんじゃないかって。
 
須藤『銀行の支店長か…、すごいじゃないか。これからも王道を突き進めよ。』
 
完治「なんだか…ずいぶん昔のことのように思えるな。」
須藤「そうか。」
完治「人間万事塞翁でね、まあいろいろあるけど、今の会社も悪いことばっかじゃないよ。」
 
真璃子「ねえ。私、下の売店で紙皿買ってくる。いただいたケーキ、みんなで食べたいから。」
聡美 「あ、じゃ、わたしも行く。」
 
二人が病室を出て行くと、完治は、聡美と来た須藤をペシペシとからかうように叩く。
 
須藤「なんだよ。」
完治「いや、なんか、よかったなと思って。」
須藤「ああ。彼女ああ見えて、意外と家庭的なんだよ。なにより、気が置けないっていうか、肩ひじ張らないで付き合えるのが、んー心地いいってかさー。」
完治「ごちそうさまでーす。笑」
須藤「それでさ、おまえにちょっと頼みがあるんだけど。おまえの会社、倉庫業やってるよな。」
完治「おお。」
 
(瀧沢家・キッチン)
ひとりで食事を終え、食器を片づける真璃子。
キッチンハーブを見て、思い出す。
 
春輝とハーブティを入れたこと。
 
帰りに振り返って真璃子をみつめる春輝。
 
春輝の職場で、涙をふいてもらったこと。
 
鬼怒川のホテル。春輝からキスされたこと。
 
春輝『僕が好きなのは、真璃子さんです。』
 
真璃子のスマホが鳴る。《春輝さん》の表示。一瞬出るのをためらうが、応答する。
 
真璃子「はい。」
春輝 「その後、どうですか。瀧沢さんの具合は。」
真璃子「ああ、ありがとう。あっちこっち、打撲だの打ち身だのあるけど、明日には退院して、ふつうに会社にも出られるみたい。」
春輝 「そうですか。よかったです。」
 
少しの沈黙のあと、「美咲は…」「美咲ちゃんは…」声がかぶる。
 
真璃子「美咲は今、会社なの。忙しいみたいで。…毎晩帰りも遅くて。」
春輝 「そうですか。」
真璃子「本当にごめんなさい。」
春輝 「あなたのせいじゃないです。……また、電話してもいいですか?」
 
真璃子は一呼吸置き、「だめです。」と答える。「美咲のいないときに、電話、かけてこないでください。」と言って、電話を切る。春輝はなにも言い返せない。
 
(荻野倉庫・事務所)
完治「おはようございます。」
 
奥山敦子(三浦真椰)「ああ、瀧沢さん。もう治ったんですか?」
木内祐輔(笠松将)「だいじょぶなんですか?」
 
完治「ええ、ほら、もうすっかり!ハッハッハ、ご心配おかけしました。」と陽気に手足を動かして見せるが、川本と目があい、真顔に戻る。
 
川本保(中川家礼二)「素人がノコノコ、倉庫にくるからや。気ぃつけてくださいよ。それより今週はウチでは、経費削減が…」
完治「課長!それより、この資料見てください。
 
企画書には「倉庫ビジネスから空間活用ビジネスへの変換『想い出ボックス』」とある。
 
川本「なんすか、これは。」
完治「実は、離婚した知人に、別れた家族のホームビデオや写真を預かってほしいって頼まれたんです。彼女にみつかるのはマズイけど、捨てられないから、って。それでひらめいたんです。例えば想い出ボックスと銘打って、捨てられない想い出を預かるサービスをしてみたらどうかって。」
川本「はあ?」
完治「他にも、ほら、遺品整理とか、家に置く余裕はないけど、捨てられない。そういう想い出を整理して預かる。そういった需要って結構あると思うんですよ。」
川本「要らん要らん。そんなチマチマした仕事!それを一個一個集めても、ろくな売上にならんでしょ。」
完治「お客様ひとりひとりのニーズに答えて行けば、なんらかのビジネスチャンスはあるはずです。」
川本「あのね、営業のみんなも忙しいし、余計な仕事している余裕はないんです。だいたいね、注文が取れたとして、誰が整理するんですかそれを。」
完治「私がやります。」
川本「あなたが?ひとりでがんばる。…え?ひとりで?できるわけないでしょ。」
完治「いや、できます。」
川本「まあ、ええけど。じゃませんように。経費削減!経費削減!…経費削減!」
 
 
完治はホームページ作成の本や、パソコンに向かっている。
完治「ドメイン…ドメインか?」などとつぶやき、課のメンバーは怪訝そうに見つめる。
 
(結婚式場)
チラシを片手に営業にまわる完治。
「想い出ボックスというサービスをはじめておりまして、家に置けないような大切な思い出を…」
「ああ、このたびはおめでとうございます。想い出ボックス…」
 
(不動産店)
完治「このビラ、こちらに置かせていただけませんでしょうか。」
店員「社長に聞いてみないとちょっと…」
 
社長らしき男性が奥から出てきて、「ふーん、それって8ミリビデオとかも預かってもらえるの?」と興味ありそうに聞く。完治は「もちろんです!お預かりします!」
 
(荻野倉庫・食堂)
完治は栞の姿を見つけ、「A定食お願いします。」と声をかける。
小俣房江(山口美也子)「瀧沢さん、頭打って忘れちゃったの?定食は、そっちよ。」
完治「はい…。」と窓口を移動するが、栞はさいごまで目も合わせない。
 
(荻野倉庫・食堂ロッカールーム)
栞のスマホが鳴る。
 
完治《ちょっとお話がしたかったのですが、会社では無理ですよね。僕はこれから数日、残業になります》
 
(荻野倉庫・事務所)
残業する完治。
 
(荻野倉庫・倉庫)
荷物を前に作業する完治。
通りかかった栞は、完治を見つけ、車のかげから様子を見る。
 
木内「あれ、瀧沢さん、なにしてンスか。」
完治「家にある古いビデオを、預かってほしいっていうお客さんがいてね、ビデオをDVDに焼き直してあげようかと思って。あと写真もアルバムに入れて整理してあげようかと。あ、もちろん許可は得てますよ。」
木内「そんなことまで…。」
完治「こういう細かいサービスが突破口になればと思って。」
木内「この機械買うって、課長に断りました?」
完治「いえ。自分の判断で買いました。」
木内「…そうですか。あの、課長と話しているの聞いてたけど、悪いけど、俺は無理だと思うな。単価が安すぎるし、数が広がらない。」
完治「まあ、やってみますよ。やってみないと!」
 
前向きな完治を見守る栞。
 
(荻野倉庫・食堂ロッカールーム)
栞は、腰掛けてスマホを眺めるが、メッセージは送らず。
 
(荻野倉庫・倉庫前)
栞が通りかかると、ちょうど完治が出てきたところだった。
完治「あ、すみません。最近ゆっくり話すヒマがなくて。」
栞 「あ、なんか、私も忙しくて。母の法事とか、施設で借りていた部屋の掃除とか。」
完治「そうですよね、ごめんなさい。力になれてなくて。」
栞 「お忙しいんでしょ?毎晩、残業ですか。」
完治「いや、課長には余計なことするなって言われているんですけどね。」
栞 「大丈夫ですか?いえ、やらなくてもいいっていう仕事やって、かえって孤立しちゃうんじゃないかって。」
完治「そのへんは大丈夫なんです。最初から孤立してますから。」
栞 「ええっ!?」と笑いあう。
完治「いえ、いいんです。好きでやってますから。」
栞 「好きで?」
完治「ええ、もし銀行にいたら、絶対にやらないし、思いつきもしないような地味で、無駄に思える仕事です。でも、この会社に来たおかげで、とても大切で、意味がある、ありがたい仕事に思えるようになったんです。」
栞 「じゃ、また。」
 
(栞の自宅・台所)
ネギを切っている手を止め、右手に痛みがあるように、手を振る。
完治の入院する時間外受付での出来事を思い出していた。
 
美咲「あの!一度、お会いしましたよね。」
栞は呼び止められたことに、戸惑いながら、振り返る。
美咲「父と付き合っていらっしゃるんですよね。」
美咲はまっすぐに栞を見つめ、続ける。
美咲「お願いがあるんです。父と別れてください。」
栞はなにも返せない。
 
(瀧沢家・キッチン)
春輝の母・日野冴(麻生祐未)と電話で話している真璃子。
 
冴  「次はお結納ね、真璃子さん。」
真璃子「はい。」
冴  「再来週の土曜日が大安吉日なの。少し急だけれど、どうかしら。」
真璃子「はい。」
冴  「あとのことはよろしく頼みます。」
 
真璃子が「かしこまりました」と言い終えるか、終えないかのうちに、ガチャンと受話器を乱暴に置く音がする。
 
 
またパンをこねる真璃子。
 
スマホが鳴る、見ると美咲からのメッセージだ。
 
美咲《今日、残業で遅くなるから、ごはん作らなくていいよ》
 
春輝『美咲ちゃん、他に好きな人がいるんじゃないかな。』
 
春輝『僕が好きなのは、真璃子さんです。』
 
われに返ったように、「だめだ、なにかしてなきゃ。」と一心不乱にパンをこね、焼き、こね、焼き…。
 
 
5~6種類、山盛りで6皿分も焼きあがった。
 
ちょうど帰ってきていた完治が「ずいぶん焼いたな。」と声をかける。
 
真璃子「おかえりなさい。」
完治 「あ、風呂沸いてない…。」
真璃子「あ、ごめんなさい。うっかりしてた。」
完治 「いい、いい。シャワーでいいや。…ビール冷えてたっけ?ああーきっつ。」
 
などと、ビールを開ける音。
 
真璃子「このところ、遅いのね。毎晩。」
完治 「今、ウチの会社、大変でさ。毎日俺なりに、格闘してるんだけどさ。」
真璃子「ウチの会社、ねぇ。」
完治 「ん?」
真璃子「やっぱりあなた、仕事が好きなのね。出向してすぐは落ち込んでたけど、今はすごく生き生きしてる。仕事してるほうが、あなたは落ち着くのよ。」
完治 「そうかぁ?」
真璃子「そうよ。よかったわねぇ。仕事がおもしろくなってきて。あー、私もビール飲もうっと。」
 
(荻野倉庫・事務所)
完治があくびをする様子を見て、木内が小声で「昨日、何時までやってたんすか?」と聞く。完治は「まぁ…」とごまかそうとするが、奥でお茶を入れてた奥田が「え、なに、瀧沢さん残業してたんですか?」と聞いた声が響いた。
 
川本「悪いけど、残業代出ませんよ?いくらやっても。」
完治「承知してます。私が勝手にやってることですから。経費削減中ですもんね。」
川本「わかってるなら、いいです。」
 
奥田「これね、すっごく高いコーヒーなの。200g、2,400円!お客様用のとっておき。」と完治にマグカップを差し出す。
川本「おい!経費削減や!」
奥田「いいじゃないですか!たまには!…これ飲んで、元気出して。」
完治「ありがとうございます。」
 
(荻野倉庫・作業室)
完治はDVDをセットして、装置を操作している。
 
(荻野倉庫・倉庫)
台車で荷物を運ぶ完治。
新しい小さめの棚4つのうち、1つがやっと埋まったところ。
 
(瀧沢家)
美咲 「ただいまー。」
真璃子「おかえり!早かったのね。」
美咲 「うん。出先から直近。」
真璃子「ね、美咲。結納にあなたが着ていく着物、これでいい?」
美咲 「ん、いいんじゃない?」
 
自分の結婚に、あまり興味なさそうな美咲を見て思い出す。
 
春輝『他に好きな人がいるって。でもその人とは一緒になれない。だから僕と結婚するんだって。』
 
真璃子「ね、結納のことなんだけど。」
美咲 「ん。」
真璃子「本当にいいの?お断りするなら、これが最後のチャンスだから。そう言ってちょうだい。」
美咲 「どういう意味?」
真璃子「好きな人がいるんでしょ?春輝さん以外に。」
美咲 「なんでそんなこと。……なんでお母さん知ってるの?」
真璃子「それはいいから。今もその人のこと好きなの?それなら…」
美咲 「もう終わった。……私は春輝と結婚する。」
真璃子「あのね、美咲。条件がいいとか、周りから喜ばれるとか、そんなことより大事なことがあるの、結婚には。あなたの気持ちよ。あなたの正直な気持ち。」
 
美咲 「じゃ、お母さんは、自分に正直に生きてる?お父さんと正直に向き合ってる?」
真璃子「それは…」
美咲 「お父さんとお母さん見てると、私イライラするの。結婚ってこんなものかなって気持ちが萎えるの。そんなこと言うなら、がんばって理想の夫婦、私に見せてよ。お父さんが浮気してるの知ってるんだよね、お母さん。なんでお父さんをつなぎとめる努力しないの?ジタバタしないの?お母さんてさ、お父さんのこと、本当に好きなの?お母さんは、いつも流れに身を任せてるだけ。そんなんじゃさ、お父さんだってもの足りないよ?ええかっこしいするのやめてさ、修羅場とかもっとちゃんとやりなよ!」
 
美咲は席を立つ。
 
真璃子「なんで。そんなこと言うの?お父さんとお母さんが喧嘩して、あなたの前で罵り合えばいいの?お腹の中の醜いもの出しちゃったら、夫婦なんて壊れてしまうことだってあるのよ。お母さんだって辛いの。ずーっと我慢してきたの。お父さんと美咲と家族でいたいから。美咲のあなたのためを思って…」
 
美咲 「そんなのいいわけじゃん!私のためとか言うの、ズルいよ。」
真璃子「そうね、ごめんね。」
 
美咲は二階へ上がる。
 
(瀧沢家・美咲の部屋)
美咲はベッドにもたれるように座り込み、スマホの写真を見ている。
 
戸浪恭介(高田純次)がいねむりする横で、自撮りでツーショットの写真。
 
※その他の写真3枚は自撮りではない美咲のワンショットばかり。戸浪は一緒に写ることを避け、撮ってあげるだけなのかも。
 
(荻野倉庫)
川本は作業室から出てきて「なんや、あの機械は!」と事務所の完治に言う。
 
川本「なんで買うたんや。経費削減ってあれほど言うてるでしょ。あれ一台で水の泡や。」
完治「必要だから買いました。経費削減って言っても限界がありますし、その場しのぎでしかありません。私たちは新しい設備に、お客を取られているんです。値下げしたところで、お客は帰って来ません。この会社の未来を救う、新しいビジネスモデルを考えないと!」
川本「じゃあ、利益はどれくらい上がってるんですか。」
完治「8万程度です…」
川本「ふん。話しになれへんがな。よう、こんなんで会社の未来を救うとか言えますね。今つぶれたら、未来もクソもないわっ!」
 
思いつめたように、完治は「このクビをかけます。」
川本はさすがに驚き、振り向く。完治は立ち上がり、「私がここの部長です。責任は私が取ります。」と言う。
川本「あんたのクビになんの価値もないわ。しょうもない銀行員のプライドに縛られてる、あんた。だからあかんねや。え?もうな、あんたの自己マンに付きおうとるヒマなんかないんや!」
 
(荻野倉庫・倉庫)
配送者から荷物を受け取る完治。台車で運ぶ。
 
栞は車の影から見守りながら、思い出す。
 
美咲『父とは別れてください。私、結婚するんです。…結婚式で、父と母に感謝のことばを言いたいんです。心から。母と並んで立ってる父に、父の目をみて、ありがとうって言いたいんです。』
 
(荻野倉庫・事務所)
完治はひとり残って、荷物を整え、運ぶ。
 
完治「栞さん…え?」
栞 「差し入れ、持ってきました。」
完治「え?」
栞 「今日、お手伝いさせてもらっても、いいですか?お役に立たないかもしれないけど。」
完治「あ…え、あ、ありがとうございます。」
栞 「あの…。」
完治「あ、あっちで!」
栞 「はい。」
 
完治「これ、タヤマさんのボックスにお願いします。」
栞 「はい。」
ファイルをボックスに入れ戻ると、完治はパソコンでお客様の写真を整理している。
栞 「わー運動会ですね。そういう写真、どの家にもありますよね。」
完治「ウチは少ないほうかもしれないなぁ。働きづめだったんで、あんまり娘の運動会、行けなかったんですよ。」
栞 「そうですか。」
 
完治「妻が撮った徒競走のビデオとか、あとで時間があるとき、見るくらいで。それで、よくやったなーってほめてやっても、娘のほうはもうそん時の興奮さめてるから、はあ?みたいな感じ。あまりいい父親じゃなかったな。ま、そう考えると、ウチは想い出ボックス少ないな。ま、僕のせいなんですけど。」
 
完治を見つめながら、静かに聞く栞。
 
(瀧沢家・キッチン)
真璃子がまた大量のパンを焼いている。
 
美咲『なんでお父さんをつなぎとめる努力しないの?ジタバタしないの?お父さんのこと、本当に好きなの?』
 
パンを小分けにする真璃子。
 
(荻野倉庫・事務所)
二人で箱詰めしながら
 
栞 「これ、素敵なサービスですねー」
完治「僕もそう思うんですよ。でも、なかなか苦戦してて。」
栞 「でもー使いたい人って、たくさんいそうだから。ああ、携帯とかで、もっと気軽に申し込めたら、いいですよね。」
完治「あ、そうか。携帯か、なるほど。」
 
荷物を運ぼうとする栞、数歩進み……
首を軽く振り歩き出すと、足元をひっかけ、荷物を落としてしまう。
※6話と同じ。めまい?突発性難聴?
 
完治「大丈夫ですか?大丈夫ですか?」
栞 「すみません…。」
完治「ああ、はい、いえいえ。」と代わりに荷物を台車に運ぶ。
※客の荷物だぞ。中の心配しろ。
 
(荻野倉庫・倉庫)
二人で並んで、台車で荷物を運ぶ。
 
栞 「わー、きれいな月。」
完治「ほんとだ。」
栞 「スイスでも見ましたね、こんな月。なつかしー、あれからまだ半年にもならないのに。ああ、ちょっと見てもいいですか?こんなきれいな月…、瀧沢さんと、次いつ見れるかわからないし。」
 
と完治を誘う。完治は倉庫搬入口に並んで立ち、
 
美咲『お父さんもあの人と別れて。』
 
ということばをふと思い出し、栞の横顔を見つめる。
 
(荻野倉庫・入り口)
真璃子が来る。
 
完治と女性が倉庫の搬入口に腰掛け、「鮭おいしいです」等とおにぎりを一緒に食べている。
 
建物のかげからから、真璃子は二人の様子を見て、声をかけずに引き返す。
 
※おそらく美咲に「あがいてみろ」と言われ、さっき小分けにしたパンを、差し入れに持ってきたと思われる。
 
(外)
川本『あんたのクビになんの価値もないわ。しょうもない銀行員のプライドに縛られてる、あんた。だからあかんねや。』
 
完治「よし、元銀行員のプライド、見せてやる。」と意気込み、大股で歩く。
 
(HICOA社・会議室)
土下座をする完治。 ←元銀行員のプライド?
 
社長・大野剣(ヒャダイン)「なにこれ、やっべえぇ。ぜんぜんダメじゃん。絶望的にセンス感じないわ。」
 
完治がつくった、想い出ボックスのホームページを見ている大野。
 
完治「どうやったら?」
大野「あのさーセンスない人間に、手取り足取り教えても、時間の無駄!」と席を立ち「第一、俺になんーのメリットもない。」
完治「あああー、ちょっと待ってください、大野さん!」と必死に制止する。
 
大野「あのさー教えるより、ウチで作ったほうが早くない?」
完治「え?」
大野「小さな倉庫会社が、ひとつのアイディアで他社を出し抜く。好きなんだよね、そういうストーリー。おもしろいじゃん!」
完治「あ、でもウチ、カネないです。」
大野「だいじょぶだいじょぶ!ウチでなんとかするから、サ。あんたみたいにカネがないとこ、どんどんクチコミで話題にしないと!」
完治「ありがとうございます!」
大野「がんばって行こうゼーー!」と、久々のグータッチからのハイタッチ。
 
(荻野倉庫・倉庫)
「想い出ボックス」の新しいサイトやロゴ入り段ボールなどができている。
「お客様の声」ページには「断捨離ができない私にぴったりのサービス!もっと早く出会いたかった。」「昔のアルバムを預けたら、写真をスキャンしてデータにしてくれました。」など、多数掲載されている。
 
箱詰め作業を行う完治。
 
(荻野倉庫・事務所)
ビデオテープをデータ化するなど、大忙しの完治。
 
まとめサイトにも、口コミで話題になっていると記事が載っていて、コメント欄にも「利用してみたい」などの評判が多数書かれている。
 
完治「ほんとに、ありがとうございます。」とスマホを片手にお辞儀をする。電話を切り、スマホを操作すると、「想い出ボックス」のアプリができた。
 
 
「おはようございます。」席に着くなりパソコン操作する完治。発注件数のグラフを確認。
 
完治「やった……やりました!想い出ボックスの注文が、昨日1日で100件を超えました…」
 
立ち上がって、メンバーに向かって言う。
 
木内「おおー。」
奥山「どうして、急に?」
完治「アプリを作ったことで、使いやすくなったと携帯とかのSNSでクチコミが広がったんだと思います。」
 
女性社員が自席のパソコンで検索しはじめる。「ニュースにもなってます!ほら!」メンバー一同喜ぶ。
 
完治「私ひとりでは対処しきれません。みなさんの、お力をお借りしたいんですが、お願いできますか。」
 
課長の川本を見るメンバー。
 
完治「課長。」
川本は返事をしないが、奥山が「手伝います」と立ち上がる。
完治「ありがとう。奥山さん」
 
木内「僕も手伝います。」
女性社員二人も「私も!」「私も!」と続く。
 
木内「課長。」
川本「あ?…あん。」
完治「ありがとうございます!」「みなさん、よろしくお願いします。」と笑顔で頭を下げる。
 
(荻野倉庫・倉庫)
女性社員「瀧沢さん、写真!」
完治「えーっと、写真はね…こちらに。アルバム…」
 
和気あいあいと課のメンバーと作業をする完治。
栞が遠くから見守り、微笑む。
 
(外)
海ぞい。夕暮れをひとり歩く栞。
 
(日野家・寝室)
冴 「悪かったわね、代わりに聞いて来てもらって。…どうだった?」
春輝「……再発だった。」
冴 「そう…。そんな顔しないで、ギリギリあなたの結婚に間に合ったのよ。私ついてるわ。」
 
(瀧沢家)
またパンを焼いたのか、3皿もテーブルの上に並べている。
真璃子がお茶を飲んでいると、完治からメッセージ。
 
完治《今日も、残業で遅くなります》
 
完治と女性が倉庫の搬入口に腰掛け、おにぎりを一緒に食べている。
 
間を置かず、今度は春輝から電話。
一瞬ためらうが、電話に出る真璃子。
 
真璃子「はい。」
春輝 「今、お宅の近くに来ています。美咲ちゃんを送ってきました。寄ってもいいですか。」
真璃子「ちょうどよかった、パンを作りすぎちゃったの。よかったら、お土産に持って帰ってくれる?」
 
(瀧沢家・門前)
春輝 「こんばんわ。」
真璃子「こんばんわ。」とパンが入った紙袋を手渡す。「美咲は?」
 
構わず続ける、春輝。
 
春輝 「真璃子さんが作ったんですか?おいしそーだな、いい匂いだ。」
真璃子「いちお、焼き立てだから。美咲…どこ。」
春輝 「これせっかくだから、すぐに食べたいな。」
 
(外)
ベンチに二人で座っている。
 
春輝 「ごめんなさい。美咲ちゃんといるって嘘ついて。」
真璃子「そうね、まんまと騙された。」 ※嘘だろ
春輝は、ロールパンを一口食べ「ん!おいしーですね、このパン。」
真璃子「ありがと。私のパンをそんなに喜んでくれるのは、あなたくらいよ。」
春輝 「こんなにおいしいのに。」
真璃子「たぶん、当たり前だからでしょう。主婦が家族のためにパンを焼くのは。」
春輝 「ぜんっぜん、当たり前じゃないですよ。家族を愛しているから、パンを焼くんですよね。」
 
真璃子もパンを手に持っていたが、食べるのをやめ、続ける。
 
真璃子「夫にね、好きな人がいるみたいなのよ。」
春輝 「落ち着いてるんですね。」
真璃子「そうね、落ち着いてる。この前、夫とその人が一緒にいるところを、初めて見た。足が一歩も前に行かなかった。結婚して、25年になるの。その間に、こうやってあの人は、ちょっとずつちょっとずつ、私から遠くなってったんだなーって。 どうすれば、そうならずにすんだか、わからない。あの人だけが悪いんじゃない。たぶん…私も悪いのよね。」
 
立ち上がって、夜景を眺め、「きれいね、あの観覧車。」
 
春輝 「乗ってみますか?」
真璃子「観覧車に?」
春輝 「観覧車がいやなら、コーヒーカップでもいいですよ。メリーゴーランドでも。それから、ジェットコースターに乗って、うわーー!って、思い切り絶叫してみませんか。」
 
(遊園地)
ジェットコースター。
観覧車。春輝「あ、ちょっと、真璃子さん、あそこみてください。きれいです。」
手こぎトロッコ。真璃子「もう無理…。」春輝「うそでしょう。」
コーヒーカップ ※なにこれ。草演出
 
(瀧沢家・門前)
春輝 「おやすみなさい。」
真璃子「おやすみ。」
 
車に乗り込もうとする春輝を引きとめて、真璃子は「春輝君、ありがと。」とだけ言い、先に玄関に入る。
 
切ない顔で見送る春輝。
 
(瀧沢家)
結納前夜。食卓で食事を取る完治に、お茶を差し出して、自分も座る真璃子。
 
完治 「いよいよ結納か。」
真璃子「そうなのよね。あれよあれよという間に。」
 
様子を伺っていた美咲が、降りてきて、「お父さん。お母さん。よろしくお願いします。」と頭を下げる。
 
(瀧沢家近くの橋)
完治が橋の上で、美咲が通るのを待っている。
 
完治「美咲…。」
美咲「わかってる。先生のことでしょう?先生ね、もうロンドンの大学行っちゃうの。客員教授で。だからもう会いたくても会えない。ちょうどいいよね。これで心置きなく、前へ進める。で?お父さんは?あの人と別れたの?…まだ別れてないんだ。」
完治「いつかはきちんとする。」
美咲「いつか、って?」
完治「彼女は今、お母さんを亡くして、すごく参ってる。だから、もう少し待ってほしい。」
 
(日野家・和室)
春輝「日野家からの結納の品でございます。幾久しくお納めください。」
完治「結納品でございます。幾久しくお納めください。」
春輝「ありがとうございます。幾久しくお受けいたします。」
 
(瀧沢家・食卓)
真璃子「サラダ食べて。」
美咲 「んん、要らない要らない。」
完治 「あ、行ってくる。」立ち上がる真璃子を制止して、「ああ、大丈夫大丈夫。いってきます。」
真璃子「いってらっしゃい。」
 
美咲 「お父さん、今日もまた残業かな。」
真璃子「そうかもね。」
 
美咲は、空いた完治の席を見つめる。
 
真璃子「美咲は?まだ行かなくていいの?」
美咲 「私は今日、会社休んだ。午後から買い物に行く。」
真璃子「そう。お式のものもそろそろ揃えないといけないわね。…いってらっしゃい。」
 
(荻野倉庫・屋上)
夜、ひとりでタバコを吸う、川本。事務所に目をやると、完治がみなに指示を出して、メンバーも活き活きと働いている。
 
(荻野倉庫・倉庫)
あのガランとしていた、4つの棚が、ビッチリと「想い出ボックス」で埋まっている。
完治が最後の箱を収めた。
 
木内「やっと終わったー」
奥山「永遠に終わらないと思ったけどねー。」
完治「いや、しっかし、みんなでやると早く終わりますねー!」
木内「ほんとだ。まだこんな時間じゃないッスか。一杯行きませんか?みんなで」
奥山・女性社員らが喜ぶ。
完治「あー、すいません。今夜はちょっと…。今度、また!必ず!」
 
奥山「えー。」、木内「つれないなー。」とガッカリする一同。
 
完治「どうしても、お礼を言いたい人がいまして。」
 
(栞の自宅の近く)
完治は栞の家に向かう。 ※おまえが今お礼言うのは大野社長だろ。
 
(栞の自宅)
インターフォンを鳴らす完治。
 
玄関から出てきたのは、栞の同僚・小俣房江だった。
 
完治「え…。」と一、二歩後ずさりして驚く。
房江「こんばんわ。」
完治「あの…。」
房江「栞ちゃんなら、いないよ。」
完治「え?あのー…」
房江「あなたにもう、会いたくないって。別れたいって。」
 
(栞の自宅の近く)
来た時といっぺんして、空には雷が光る。
 
昼、ほほえんで、完治をみつめる栞。
 
二人で満月をみながら、ほほえみあった時の栞。
 
肩を落としてあるく完治。
 
(瀧沢家)
完治が帰宅すると、玄関も室内が暗い。
 
「ただいま」と部屋に入ると、食卓の上だけ灯りが点き、真璃子がひとり黙って座っている。
 
完治 「どうした?」
真璃子「美咲がいなくなった。」
完治「なんだって?」 美咲からの置手紙を、完治も手に取る。
 
美咲《ごめんなさい。私、やっぱり結婚できません。先生とロンドンに行きます。》
 
(完)
 

第7話:まとめと、言いたい放題ドラマ評

(まとめ)
  • 見舞いにきた岡田からの相談を、個人客獲得の企画として、見切り発車する蔵之介。社員やヒャダインに、カネも払わず働かせ、軌道にのせつつある。
  • 岡田は、八木亜希子と付き合っているらしい。
  • 黒木は体調悪そうだし、ものかげから見守るだけだし、陰気くさい。
  • 中山は蔵之介の浮気で、パン作りばかりして被害者ぶってるけど、藤井流星のことばかり考えている。
  • 流星との遊園地デートは、最終的に異次元へ逝ってしまわれる演出。なにあれ笑うところ?
  • 石川恋は結納まで済ますのに、高田純次と逃避行。だったら、中山に断るなら最後と言われたときに、断ればいいのに。めんどくさい娘。
 
(言いたい放題ドラマ評)
前話に、中山のセリフに「なんでも話し合える友だち親子だと思ってたけど、そう思ってたのは私だけみたい。」というのがありましたけど。最初から、娘への依存率が高い、気持ち悪いパン焼きママだと思ってたけど、思った通りの展開。
 
「想い出ボックス」。荷物をボックスで預かってもらう。これはいい。でもさ、写真スキャンしたり、ビデオをDVD化したり。工数的に絶対無理だからこのサービス。ヒャダインが爆笑してた超絶ダサいホームページも、まじで、25年前くらいに作ったようなダサさで笑いました。
 
ダサいと言えば、中山と流星の遊園地デート。さいごのコーヒーカップは笑いました。笑いました。なにあれ。周りは目に入らず二人の世界(はーと)ってことですか?なんかもっとあっただろ。表現方法がさ。先週までに流星からキスして、流星から告白してんだから、中山から手ぇつないで中山からキスくらいしろ。
 
黒木の不調はなんなんですかねー。ね。おわり。
 

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