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【黄昏流星群】第8話:まるっと文字起こし

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黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜 【第8話】

黄昏流星群

黄昏流星群 - フジテレビ

(瀧沢家)
瀧沢完治(佐々木蔵之介)と、瀧沢真璃子(中山美穂)は、娘・美咲(石川恋)の置手紙を見ている。
 
美咲《ごめんなさい。私、やっぱり結婚できません。先生とロンドンに行きます。》
 
真璃子「戸浪先生?美咲といくつ離れてると思ってるのよ。おじいちゃんと孫じゃない!」
完治 「わかってるよ。そんなこと。」
真璃子「あなた、知ってたの?」
完治 「ん。」
真璃子「知ってたらなんで教えてくれないの。」
完治 「すまなかった。」
真璃子「あなたには話して、私には話してくれないんだ。」
完治 「それは、俺がたまたま見かけただけで。」
真璃子「見かけた?なにを。」
完治 「美咲と先生が、一緒にいるところだ。」
真璃子「一緒に?……ねえ、美咲はどこにいるの?」
完治 「知らないよ。」
真璃子「ほんとに知らないの!?ね、知ってたラ教えて!」
完治 「いや、俺だってわかんないよ。」
 
(瀧沢家・美咲の部屋)
美咲の机を探す真璃子。
真璃子と美咲が一緒に写るプリクラを見つけて「美咲…」とつぶやく。
 
(日野家・玄関)
完治 「申し訳ございませんでした。」
 
玄関の上がり口で、春輝の母・日野冴(麻生祐未)に土下座で謝る、完治と真璃子。
日野春輝(藤井流星)は「顔を上げてください。瀧沢さん。」と完治の肩に触れる。
 
冴は無言で、室内に戻ってしまう。
 
 
玄関を出たところで、完治は「申し訳ございませんでした。」と再度言い、完治と真璃子は、深々と頭を下げる。春輝も無言で頭を下げる。
 
冴が突然、「帰れ!帰れぇ!!」と完治と真璃子に対して、塩をまく。
※土俵入りの量。
 
春輝はお母さん、お母さん。」と制止し、
二人に「どうぞお帰りください。」と声をかける。
制止されてもなお、塩をまき続けようとする冴。
完治と真璃子はとまどいながら、足早に去る。
 
力尽き、座り込む冴。
 
春輝「大丈夫?こんなことするからだよ。」
冴 「なに、言ってんの、あなた。悔しくないの。」と肩でゼイゼイと息をする。
春輝「悔しくないよ、僕も悪いんだ。」
冴 「どういうこと?」
春輝「部屋に戻って休もう。」
 
(荻野倉庫・食堂)
入り口から、栞でないスタッフがゴミだしするのをみつめながら、完治は思い出す。
 
房江『あなたにもう、会いたくないって。別れたいって。』
 
笑顔の栞。
 
(荻野倉庫・事務所)
上司「瀧沢君の発案した、想い出ボックスが、大変な評判になっています。将来的には事業計画の一つの柱となっていくでしょう。瀧沢君、ひとこと。」
 
完治「いやぁ…」と遠慮する。
奥山敦子(三浦真椰)「瀧沢さん!」と押し出し、
木内祐輔(笠松将)は「よっ!瀧沢さん!」と声を上げ、女性社員らも笑顔で拍手をする。
 
完治「素人同然の私の思いつきを、信じて支えてくださった、川本課長!そしてみなさんのおかげです。ありがとうございました。」
 
(荻野倉庫・食堂)
栞の同僚・小俣房江「ご注文は?」
完治「目黒さんは?」
房江「今日はお休み。体調不良だって。早く、注文!」
完治「カレーライス。」と食券を差し出す。
 
(栞の自宅)
薄暗い部屋で、ふとんから置きだすが、食卓に座り込むのが精一杯。
 
美咲『お願いがあります。父と別れてください。』
 
玄関のチャイムが鳴り、「こんばんわ。」と完治の声がする。「瀧沢です。」
 
完治「大丈夫ですか。体調が悪いと…」
 
栞は玄関のカギを開けずに、ガラス戸越しに言う。
 
栞 「帰ってください。お別れしたいとお伝えしたはずです。」
完治「どうしてですか、どうして急に。」
栞 「同じ会社でこういうことやっぱり、よくないと思うんです。私、今の職場、とても気に入ってるんです。変な噂が立って、辞めなきゃいけないようなことになったら、困るんです。」
完治「でも、それはわかりますが…」
栞 「女が、ひとりで生きていくって、結構大変なんですよ。正社員で身分が保証されている、瀧沢さんとは違うんです。ごめんなさい…わかってください…ごめんなさい……」
 
力なく言い、栞は部屋に戻ってしまう。完治はそれ以上、なにも言えない。
 

(瀧沢家・食卓)

完治が物思いにふけ、手が止まっている。真璃子「何考えてるの?」とキッチンから声をかけられ、「え、あ。」と食事を再開する。
 
真璃子「美咲、今頃どこにいるのかな。」
完治 「イギリスにいるんじゃないか、先生と。」
真璃子「でもどうして、電話に出てくれないんだろ。……ね、やっぱり警察に電話したほうが。」
完治 「美咲も大人だ。そこまですることない。」
真璃子「どうしてそんなに落ち着いていられるの?心配じゃないの?」
完治 「心配だよ、俺だって。」
真璃子「全然そんな風に見えない。なんだか他人事見たい。他にもっと、気になることがあるんじゃない?いろいろと。」
完治 「なに、いろいろ?」
 
真璃子が続けようとしたところで、玄関のチャイムが鳴る。
 
真璃子「……美咲?」と言いながらあわてて玄関に向かう。完治も後を追う。
 
(瀧沢家・玄関)
玄関を開けると見知らぬ年配の女性。
「主人がどこに行ったか、ご存知ないですか。」と突然詰め寄ってくる。
 
真璃子「あの…」
女性 「あ、夜分にすみません。私、戸浪カズヨと申します。」
真璃子「となみ…。」
 
(瀧沢家・リビング)
完治 「私たちも、娘の居所はわかっておりません。」
 
真璃子がお茶を出す。
 
カズヨ「そうですか…。」
完治 「本当に申し訳ありません。」
 
深々と頭を下げる完治を見て、真璃子も「申し訳ありません。」と頭を下げる。
 
カズヨ「いいんですよ、悪いのはお互い様でしょ。…二人で楽しくヨーロッパ旅行でもしてるのかしら。」
真璃子「だったら、まだいいんですけど…」
 
カズヨは真璃子を険しい顔で見る。真璃子が気づき「あっ、ごめんなさい。」
 
カズヨは少し表情をやわらげ、続ける。
 
「そうよね。私もそう思うわ。いい歳して、心中なんかしないでしょうし。歳とってかかるハシカは重い、って言うから。あの人ね、いろいろ変なクセがあるんです。外では格好よくしてるのかもしれないけど、ウチでは、ヒドイの。若いお嬢さんには、そういうの、いずれ耐えられないと思うの。そうね。あの人、きっと捨てられるわ。私、離婚しません。もし、お嬢さんから連絡が来たら、それだけは伝えてください。」
 
(瀧沢家・食卓)
水原聡美(八木亜希子)「そんなにショックか。」
真璃子「ん?」
聡美 「真璃子は娘命なんだなーと思って。」
真璃子「だって、心配で。携帯には出ないし、メールは読んでる様子ないし。今、なにしてるのか。どこにいるのか。生きてるのか、死んでるのかもわからないのよ。」
聡美 「生きてるでしょ。生きて楽しんでんのよ。恋愛を、人生を!勝手に楽しませておけばいいじゃない?」
 
真璃子「私ね、あの子の一番の相談相手だと思ってた。いろいろあっても、あの子が最後に頼るのは私なんだなーって思ってたの、なのになにも言わず。主人には秘密を話してたけど、私には話してくれなかった。なんか、自分の人生、ぜーんぶ否定されたみたい。」
聡美 「ダンナに浮気されるよりも、よっぽどショックって感じだね。」
真璃子「なんでだろ。あの子が家にいないだけで、体の一部がもぎ取られたみたい。」
聡美 「うらやましいな。」
真璃子「うらやましい?」
聡美 「そんなに大事に思えるものがあるなんて。子どもってすごいね。私はもう一生、そういう思いすることないんだろうな。」
 
(若葉銀行・本店)
井上秀樹(平山祐介)と歩く完治。
 
完治「ありがと、おまえのおかげだ。」
井上「特に俺はなにもしてないよ。荻野倉庫の経営実績に応じた融資だ。」
完治「元はと言えば、おまえが上を説得してくれたおかげだ。感謝してる」と頭を下げる。
井上「楽しそうだな、瀧沢。」
完治「あ、ま、おかげさまで。」
井上「おまえはいい時に銀行を辞めたよ。」
 
部下「井上部長、会議がはじまります。」
井上「おう、今行く。…じゃ、またな。」
完治「また!」
 
ひとりになった途端に、渋い表情になる井上。
 
(荻野倉庫・事務所)
終業のベルが鳴る。 
木内「よっしゃー、終わった!」
奥山「木内君、喜びすぎ」
 
川本保(中川家礼二)が瀧沢のデスク横まで歩みより、改めて言う。
課のメンバーは、心配そうに二人を見る。
 
川本「瀧沢さん、これから、どうですか。私とサシで一杯。」
完治「お願いします…。」戸惑いを隠せない。
 
(居酒屋)
川本「いやー、悔しいけど。ビックリさせられることがいっぱいやな、瀧沢さんには。へっへっへ。いやあ、自力で顧客を開拓して、融資も獲得してくださった。私にはできないことです。」
完治「いえ、そんな。」
川本「私のあだ名、知ってはります?」
完治「いや」
川本「カメ課長」
完治「ああ…」
川本「ああ、ちゃいます。顔がカメに似てるから、ちゃいますねん。あのー、万年課長。亀は万年、っていいまっしゃろ?いやー、言うたってね、毎年、今年こそ昇進やーいうてそわそわして、頭を甲羅からヒューって出したら、その頭またパーンと叩かれる、へっ。取引先やら、銀行や、上の方からわけのわからんヤツがやってきて、それでなんにもせんのに、給料だけ持って帰りよんねん。もううんざりしてました。ま。」
完治「どうもすみませんでした。」
川本「いや、あんたは違う。今度のことでわかりました。もう、本気でウチの会社のことを考えてくれてる。それになにより、諦めん人やった。いやあ。いくつになっても、どこにおっても、諦めんちゅーことは大事なことや。ね。」
完治「私も、勉強させてもらいました。」
川本「いや、俺も、部長になんの、諦めんとこーかなー。」
完治「いや、なれますよ、川本さんなら!」
川本「や、どの口が言うてんの?」と笑いあう。
 
スマホが鳴る。完治「あ、すみません。」美咲だ。
 
完治「美咲か、今どこにいる。」
 
(成田国際空港)
国際線ロビーを、人を探しながら歩く完治。
ひとりで座る美咲を見つけ、「美咲」と声をかける。
 
完治「先生は?」
美咲「ラウンジで休んでる。呼ぶ?」
完治「ん、お前と話したい。……先生の奥さんとお会いしたよ。」
少し驚いた様子の美咲「そう…」
完治「ウチを訪ねていらした。立派な方だった。先生と離婚する気はない、とおっしゃってた。」
美咲「そう…」
完治「それでも行くのか。」
美咲「行く。私、先生と結婚したくて一緒にいるんじゃない。一分一秒でも長く、先生といたいだけなの。」
完治「そっか。」
美咲「お父さん、ごめんね。」
完治「謝るなよ、謝ったところで、どうせ行くんだろう。」と腰掛ける。
 
美咲「そうじゃなくて…目黒さんのこと。あの人に別れてくれって言われたでしょ。」
完治「なんで。」
美咲「私が頼んだから。癪だったんだ、お父さんが取られるのが。」
完治「取られる?」
美咲「昔からずっと、お父さんって仕事に夢中だったじゃない?仕事が一番。家族は二番なんだなーって、でもそれは我慢できたの。しょうがないなーって思ってた。だけど、いつのまにか一番がすり替わって、目黒さんってことになるのがイヤだった。そりゃないよって思うじゃない。」
完治「美咲…」
美咲「私、目黒さんにヤキモチ焼いたんだ。」とうなだれる。
 
完治「お母さんには、話したのか。」
美咲「まだ、話してない。お父さんはいいの。もう恥ずかしいところ、見られちゃったしね。でも、お母さんには…お母さんには私、合せる顔がない。申し訳なくて…。」
完治「お母さんと話しなさい。行くなら。お母さんにキチンと話しなさい。」と自分のスマホを差し出す。
 
(瀧沢家)
美咲とのプリクラを見つめる真璃子。スマホが鳴る。表示は《完治さん》
 
真璃子「もしもし?なに?」
美咲 「お母さん。」
真璃子「美咲?今、どこいるの?」
美咲 「今、空港。お父さんと一緒。」
真璃子「今までずっとどこにいたの?」
美咲 「先生と、日本の中をあちこち、ずっと旅してた。これから、10時の便で先生とロンドンに行く。」
真璃子「どうしても行くの?」
美咲 「ごめんね、お母さん。お母さんが思うような、大人になれなくて、ごめん。みんなに喜んでもらえるような、素敵な結婚式とかあげられなくて…」と泣きじゃくる。
真璃子「どうでもいいの。なんでもいい。あなたが、元気でいてくれれば。お母さんはそれでいい。」
 
美咲のトランクケースには、真璃子が見ていた二人のプリクラが貼られている。
完治も美咲の様子を見て、目に涙をためている。
 
真璃子「元気でいってらっしゃい。体だいじにね。」
美咲は大きくうなづきながら、「わかった。じゃ行くね。…おかあさん?ありがと。」
 
真璃子も泣いている。リビングに並ぶ、美咲の小さい頃からの写真。
 
(タクシー)
帰路。完治は空港での会話を思い出す。
 
完治「わかってるな。おまえは、いろんな人を裏切って行くんだ。だから、絶対幸せになれ。」
泣きながらうなづく美咲を、完治は抱きしめる。
 
(瀧沢家・食卓)
完治と真璃子は向い合せで座り、食事をしている。真璃子の手がすすまない。
 
完治 「おいしいよ。」
真璃子「ん?」
完治 「ビーフシチュー、うまいね。」
真璃子「美咲の好物。あの子、マッシュルームが好きで、ひとパック入れておくと、全部自分で、先にお皿に取っちゃうの。」
 
ひとくち、口に運ぶが、スプーンを起き、泣き始める真璃子。
完治は手を伸ばし、真璃子の手を握るが、真璃子は手を抜いて、席を外してしまう。
 
(荻野倉庫・事務所)
窓の外の屋上にいる、完治と川本を見て、
 
奥山「あの二人、仲良さそうだよね。」
木内「おお、ホントだ。仲良くなったんだね。」
 
川本「そうですか。娘さんがねー。瀧沢さんもエライ決断しましたな。」
完治「いえ…」
 
奥山「瀧沢さん、若葉銀行からお電話です。」
完治「あ、はい。
 
完治「お待たせいたしました、瀧沢です。……来週ですか?はい、わかりました。失礼します」
 
川本「なに言うてきました?」
完治「来週、本店に来るように、と。」
 
(栞の自宅)
房江「駅前でね、奮発して買ってきちゃったー!」
栞 「え?」
房江「きれいでしょー、ほら!クリスマスローズ」と鉢植えを差し出す。
栞 「へー、かわいいー」
 
二人でお茶を飲みながら、
房江「まだ好きなんでしょう。あの人のこと。」
栞 「え?」
房江「別れたいって言うから手伝ったけどさ。」
栞 「もういいの、ジタバタしても傷つくだけだし。いい歳だし、もうおわりで。」
房江「栞ちゃんに言われたら、私どうすんのよー。」
栞 「え?笑 房江さん、誰か好きな人いるの?」
房江「いる、いる。俳句教室の先生。人気の先生でさ、私が仲がいいからって、他の生徒たちに嫉妬されて大変!みんな、私と似たような歳なのに、いい歳して元気よ?」
栞 「そうなんだ。」
 
房江「あ、この花ね、日陰のほうがよく咲くんだって。そういう花もあるのよね。でもいいじゃない?日陰に咲いたって、花は花だもん。」
 
窓から夕焼け空を見る栞。
 
(外)
完治は夕日を見ながら思い出す。
 
栞『隣に誰かいてくれたらな、って思わなくないです。いつもじゃなくて、時々でいいから。』
 
あの日も夕方だった。
 
(居酒屋)
店主・徳田和夫(小野武彦)「いらっしゃい」と見上げ、少し驚く。
 
栞 「いいですか?」
徳田「あっどうぞ。どうぞ。」
 
 
栞、酒を飲みほして、「はぁ…ごちそうさまでした。おいくらですか。」
徳田「1,500円になります。」
 
店の扉が開く音。徳田は「へぃ、いらっしゃい。」と入り口を見て、栞を見る。
 
栞が立ち上がり振り返る。完治だった。
 
帰ろうとする栞に、「あ、待ってください。」と声をかける。
完治「あ、冷ください。彼女にももう一本。お願いします。」
徳田「はいよ。」
完治「今日は、大将と話しに来たんです。…ですから、ちょっとの間、座っていただけますか。」と栞に言う。
 
静かに席に戻る栞。
 
完治「大将、聞いてください。娘が家を出て行きました。60過ぎの、40近く歳の離れた大学教授と、駆け落ちするみたいにロンドンに行ってしまった。非の打ちどころのない婚約者がいて、結納もすませて、あとは結婚するばかりだった。…でも俺、娘、止められなかった。娘の気持ちがよくわかるからです。好きになってはいけない人を、好きになる気持ちが。娘が言ってました。先生と一緒になりたいわけじゃない。ただ一分一秒でも長く、そばにいたいだけだ、って。俺も同じです。ただ、一緒にいたい。一分一秒でも長く。ねぇ大将、俺には家族がいます。妻がいて、娘がいる身で、こんなこと思うの。身勝手なんスカね。でも…どうしようもないんですよ。家族を裏切りたくない。裏切るのがツライと思う気持ちにピッタリくっついて、どうしようもなく、その人を求めてしまう。毎日でも会いたい。声が聞きたい…愛おしく思ってしまう自分がいるんです。この気持ちがおさえられない。どうしたらいいんですかね。」
 
徳田はジャンパーを着込み、表ののれんを降ろし、「ちょっと、買い出し言ってくる」と二人を残し、店を出る。
 
栞 「私も一緒です。瀧沢さんに会えるのが、ほんの2時間でも30分でも、それが、心の支えになってました。食堂で、ほんの一瞬、目を見かわすだけだったとしても、私の一日に光が差すんです。一日に一度、あなたに会えることが、私の生きていく力になりました。あなたが好きです。本当は別れたくない。」
涙声で言う。
 
完治は、栞の隣に席を移し、「山、行きませんか。今度こそ、一緒に山に行きましょう。」
涙を流しながら、うなづく栞。
 
(瀧沢家)
真璃子「銀行から呼び出し?」
完治 「理由はわからないが、仮に融資を打ち切られたら面倒なんだ。」
真璃子「そう…」
完治 「そんなことないと思うけど。……ああ、週末、また山に行ってくる」
真璃子「もう、秋も深いのに、寒くないの?」
完治 「うん、今の時期、空気が澄んできれいなんだ。」
 
真璃子「そう、楽しみね。」
※真璃子は「私も一緒に行ってみようかな」って言えばかわいいのに。
 
(瀧沢家・寝室)
その夜、完治の寝る後姿を見る、真璃子。
 
(栞の自宅)
居間には、日本アルプスの地図や、登山用のリュック。
玄関で、登山靴を準備する栞。
 
また栞は、違和感を感じたしぐさ。電灯を見上げると、いくつかの黒い点が見える。

※めまいや耳じゃなく、飛蚊症だったんですね。

 
ゆっくりまばたきしたり、首をふりながら立ち上がり、戻ろうとしたところで玄関の上がりに躓き、クリスマスローズの鉢植えを落としてしまう。
 
(病院・眼科)
医者「目がかすんで見えづらい?いつごろからですか。」
栞 「はい…えっと…数ヶ月前くらいからです。」
医者「他に症状はありませんか。」
栞 「手がしびれる時があります。」
医者は顔をあげ、「手がしびれる?……では見てみましょうか。」
 
診察をする。
 
(病院・外)
立ちくらみを起こし、看板によりかかる栞。診断を思い出す。
 
医者『お母様も確か、糖尿病でしたね。あなたも同じ、糖尿病です。それに…』
 
目がかすむ栞。
 
(外)
待ち合わせ場所で待つ完治のスマホが鳴る。
 
栞《ごめんなさい。今日の山登り、行けなくなりました。》
 
完治が、だいじょうぶですか…と打ちかけていた時に、立て続けに届いたメッセージを見て、違和感を感じ、駆け出す。
 
(栞の自宅)
完治。玄関が開かない。
 
裏手に回っても、室内には人気がない。
 
鉢が割れたクリスマスローズが、片付けられ、仏壇も閉じている。
 
栞《ありがとうとざいました。素敵な景色を、たくさん、たくさん、見せてもらいました。忘れません。》
 
スイスで夜空を見た時の栞。
 
待ち合わせにベレー帽で来た時の栞。
 
栞の家で、朝食を食べた時。
 
一緒に夕日を見ながら、隣に誰かいてくれたらと言う栞。
 
次いつ見れるかわからないし、と二人で満月を見てほほえむ栞。
 
思い出し、茫然とする完治。
 
(公園)
真璃子「はい。」とハンカチを差し出し、「長い間、返しそびれてごめんなさい。」
 
春輝 「いつでもよかったのに。」
真璃子「そうはいかないわ。それと、美咲のこと、ほんとにごめんなさい。」と頭を下げる
春輝 「それはいいんです。ほんとに、これで終わりですか?僕たち、一人の男と女として…ではなくても、人として付き合ってくっていうのはナシですか。」
真璃子はベンチから立ち上がって、「ナシです。」キッパリ言う。
 
春輝 「どうして。」
真璃子「まず、第一に、私には家庭がある。」
春輝 「美咲ちゃんは家を出て行った。ご主人には恋人がいるんでしょう。」
真璃子「歳が違いすぎる。」
春輝 「つまんない理由だな。」
真璃子「つまんなくても大きな理由よ。…あなたと知りあえてよかった。お母さんを大事にして、いい人みつけて結婚してください。じゃ…」
春輝 「待って。最後のお願い、聞いてもらえませんか。」
 
(日野家)
寝室を覗く春輝。冴はよく寝ているようだ。
 
リビングのソファで待つ真璃子は「お母様にご挨拶したいんだけど。」と春輝に言う。
 
春輝「今、眠っているんです。そっとしておきましょう。」
 
※うそだろ。どんなお願いして、なんで素直についてきてるんだ真璃子は。正気か。
 
目が覚める冴。
 
 
庭でハーブをとり、キッチンで洗い、庭でハーブティを飲む。
終始、微笑みあう春輝と真璃子。
 
真璃子の手を握る春輝。
 
 
寝室から降りてきた冴。リビングの女性のバッグを見る。
 
外へ続く扉が開き、カーテンが揺らいでいる。
 
近づいて外を眺めると、春輝が真璃子の手を握っている。
 
視界がボヤけ、その場で倒れこむ冴。カーテンをにぎっていたため、カーテンレールから外れてしまう。
 
ドスッという鈍い音で、春輝と真璃子が気づき、駆け寄る。
 
春輝「お母さん。お母さん!」
 
(栞自宅そばの橋)
ウロウロと、栞の帰りを待つ完治。
 
スマホが鳴り、見ると守口専務からだった。
 
完治「お久しぶりです、守口さん…」
 
(バー)
※ドラマ「大恋愛」松岡昌宏と草刈民代が付き合うきっかけになったバーですね。セラーバー | レストラン&バー一覧 | レストラン&バー | リーガロイヤルホテル東京
 
完治「お久しぶりです。」
守口「ほんとに久しぶりだなー。なに飲む?」
完治「ビールを。」
守口「ビール…」 人指を立て、バーテンにオーダーする。
 
完治「お元気でしたか」
守口「ん、まあまあだよ。まあまあいろいろあって、専務に返り咲いた。」
完治「え?…え、そうなんですか!?あ、おめでとうございます。」出されたビールで乾杯する二人。
守口「来週本店に呼ばれただろう。それについて、俺のクチから先に伝えておきたい。銀行に戻ってこないか。」
 
(病院)
救急車のサイレン。
 
椅子に座り、待つ真璃子。
 
春輝が救急処置室から出てくる。
 
真璃子「お母さんの具合は?」
春輝 「貧血と、腹水もたまっていたそうです。…実は先月、病院に行ったら、ガンが再発していると言われて。すぐにどうこうという訳じゃないんですけど、何日か入院することになりそうです。」
真璃子「そう…これから大変ね…。」
春輝 「母の世話は慣れてますから。これから家に戻って、荷物を取ってきます。」
真璃子「…じゃあ、私は帰るね。」
春輝 「送ります。」
真璃子「いいのよ、タクシーも電車もあるから。」
春輝 「いえ、送らせてください。」
 
(車内)
線路沿いで車を止める。
 
春輝 「今日は、ありがとうございました。」
真璃子「いいえ。……お大事に…お元気で。……じゃ。」
 
シートベルトを外し、出て行こうとする真璃子の手首をつかむ。
 
春輝 「行かないでください。行かないで。」
 
春輝はシートベルトを外しながら、真璃子にキスする。 ※お上手。
真璃子もそれに応え、春輝の首に腕を回す。
助手席のシートを倒す。 ※ええっ。
(完)
 

第8話:まとめと、言いたい放題ドラマ評

(まとめ)
  • ビリギャルはなぜか、高田純次と国内旅行をしていた。ロンドンはこれから。
  • 黒木が別れを言いだしたのは、石川のせいだったとわかり、蔵之介は山へ誘う。二人で山に登れないフラグです。
  • 想い出ボックス好調。銀行にもどれそうだが、たぶん頭によぎったのは黒木のこと。
  • 中山は、塩まかれた日野家に堂々と立ち入り、のんきにハーブティー。麻生祐未の体調が思わしくなり、結界の力が弱まっているのだ。
(言いたい放題ドラマ評)
中山がショックを受けている・こだわっているところは、「蔵之介には話してたのに、自分には話してくれなかった」ということ。蔵之介と話そうともしない、八木亜紀子のことばも届かない。どのシーンでも、自分には、自分が、自分は…自分のことで身勝手な母親だ。だからだよ。ざまあ。
 

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